NFL 2017-2018 いよいよワイルドカード、プレイオフ

 2017年12月31日(現地)にはWEEK17、つまり最終週の試合が全試合同時刻キックオフで行われました。すでにプレイオフを決めている、シード権も決まっているチームは主力を休ませることもできますが、地区優勝やワイルドカードのボーダーにいるチームは大変ですね。

 その結果、次のように決まりました。

プレイオフ出場チーム決定!

AFC
 ペイトリオッツ、スティーラーズ、ジャガーズ、チーフスが地区優勝。ビルズ、タイタンズがワイルドカード。
 レイヴンズとチャージャーズは惜しくも逃しました。レイヴンズは勝てば行けたのに、まさかの敗北。元々守備のよさで知られるチームですが、今季は守備はまあいいとして攻撃は物足りず、とにかく点が取れない。また守備も以前のように点を取る守備というほどでもない印象でした。相手に時間を与えてしまい、ものの見事に逆転TDをくらってシーズン終了。チャージャーズはシーズン途中までなんだか元気よくて行くんじゃないかと思ったものの、惜しくも。WEEK15のチーフス戦で負けたのが痛かったですね。
 ビルズは最終戦で勝ってレイヴンズが負けたらワイルドカードという試合で、みごとドルフィンズに勝利しました。18シーズンぶり(1999年のこと)。私は個人的にはダグ・フルーティーの呪いじゃないかと思っていますけど(レギュラーシーズン、彼の活躍でプレイオフを勝ち取ったのに、プレイオフには別のQBを先発させた)。

NFC
 イーグルス、バイキングス、セインツ、ラムズが地区優勝。パンサーズ、ファルコンズがワイルドカード。
 カウボーイズ、ライオンズ、シーホークスは惜しくも逃しました。とはいえ、NFC南地区から3チーム出るというのはすごいことですね。

 だいたい10勝はしないと残れないのが常なんですが、9勝チームは悔しいことでしょう。

 ちなみに、勝率が同じの場合は、タイブレイク制度で決まります。詳しくはこちら。TO BREAK A TIE FOR THE WILD-CARD TEAM

 これでおわかりのように、直接対決の結果勝ってるチーム、それも同じなときは、カンファレンス内の勝率の高いチーム、それも同じなときは……みたいな感じで決まっているのです。6番目ぐらいにスケジュールっていうのもあって、たまたま今季勝率の高いチームと多く対戦しているチームは優位になります。
 もしバイキングスがスーパーボウルへ行けば、史上初の開催地のチームの出場となります。

ワイルドカードの4試合は?

 さて、ワイルドカードとは、AFC、NFCそれぞれに地区優勝はできなかったけど、勝率の高い2チーム(合計4チーム)が、地区優勝で勝率の低い2チームと対戦する試合です。地区優勝するとホームで試合ができます。日本時間1月7日、8日に行われる試合を展望してみましょう。

 タイタンズatチーフス AFC
 チーフスが有利でしょうか。今季前半と終盤、強さを見せつけました。中盤に6敗もして、一時はもうダメかと思ったのですけども。スケジュールに助けられたとも言えますね。タイタンズに比べると、オフェンスのどの成績も上回っている感じ。ランではQBスミスも走るのでディフェンスが難しい。しかもホームですから。
 タイタンズは、QBマリオタが不安定で、49ersにも負けたぐらいなんですが、滑り込みました。WEEK17のジャガーズ戦も強さを見せつけるような印象はなくて、なんだかちょっと幸運なんですよね。ただ、短期勝負は幸運はとっても大事。ただアウェイでは厳しいか。

 ファルコンズatラムズ NFC
 ファルコンズは、スーパーボウル(第51回、2017年)でのペイトリオッツとの死闘(初の延長戦)が印象的です。今季は順当に勝ち進むと思ったものの、なんだか心配になってしまうこともあって。WEEK14でセインツに3点差勝利したのに、WEEK16でセインツのホームで戦うと10点差で負けてしまう。このあたりが象徴的ですね。カンファレンス内での戦いに苦しんだ印象があります。結果的に4チーム中3チームがプレイオフというNFC南地区だったということなのでしょう。WEEK17のパンサーズ戦、WEEK11のシーホークス戦のように守備ががんばれば勝てるかもしれません。
 ラムズは、みごとな地区優勝。カウボーイズ、ジャガーズ、シーホークス、タイタンズをアウェイで勝利しているのですから、パワフルです。QBゴフは、ヤードこそファルコンズQBライアンに見劣りしますが、28TD(ライアンは20TD)とすばらしい活躍。そしてファルコンズにはない武器、RBトッド・ガーリー。1300ヤードを走り13TDですからね。この差がそのままラムズ優位になると思いますが、接戦になるかもしれません。

 ビルズatジャガーズ AFC
 ビルズが最後にプレイオフに出たのは1999年。久しぶりですね。一時はお荷物的なぐらい勝率が低下しました。それが久しぶりにやってくる。ただ9勝でのワイルドカードは、やや幸運な印象。ディフェンスがウリ。攻撃ではRBルショーン・マッコイのランが魅力ですね。ただ、リードされてしまうとキャッチアップできるぐらいの攻撃力があるとも言えないので、ジャガーズを調子に乗せないことが大事です。できるかな。チーフスにWEEK12に勝利したときはやたらFGを決めまくる展開でした。つまりディフェンスで相手に点を取らせず最小得点差で勝利するプランでしょうか。
 ジャガーズは、WEEK16、17と連敗してのプレイオフ。このチームも、勝てる試合では相手に点をあまりやらないのです。8試合も相手を10点以内に留めて勝利しています。コルツに完封勝利していますし。スティーラーズにも勝っているのです。つまりこの対戦はお互いのオフェンスよりはディフェンス。1本のFGが明暗を分けるような展開になるのかな、と希望してみたりして。

 パンサーズatセインツ NFC
 パンサーズは、投げて走るQBニュートンの魅力がメイン。データでも、3300ヤード投げて22TDを取り、750ヤード走って6TDを取っている。とんでもないQBです。逆に言えば、このニュートンを封じれば得点力は低下するわけで、セインツにそこを抑えられたときにどうするのかが興味深いですね。WEEK13でセインツと戦って負けていますが、思いきり投げて走れた印象がなかったので、タイム・オブ・ポジション(攻撃時間)を長く保つことが重要です。とくにこの試合では3dコンバージョンが10分の3。セインツは15分の6で割合云々よりも、そもそもセインツは多く挑戦できていたわけで、これを逆にしなければ勝てません。
 セインツは、QBブリースが以前ほど大活躍とは限らないのですが、RBイングラムにもう1人の新人RBカマーラという多彩な攻撃力。またさすがに守備もなかなか手強いチームです。WEEK13のパンサーズ戦は点の取り合いのようでいて、終盤でのボールキープ力の差みたいな感じで勝利した印象がありました。RBが優れているとキープしやすいですよね。RBが走れるということは、オフェンスラインがすごいってことなので、後半になるほど試合を自分たちのシナリオ通りに進めやすくなります。今季のセインツはスケジュールが厳しくて、負けている相手は、バイキングス、ペイトリオッツ、ラムズ、ファルコンズといった面々。それだけにここでパンサーズに勝利するともしかしてスーパーボウルもあるかもしれないぐらいのポテンシャルはあるのです。

待ち構えるシードチーム

 AFCはペイトリオッツが勝率トップ。続くスティーラーズ。直接対決でスティーラーズは負けています。とはいえ、チーフスやジャガーズが勝ち上がってきても、この2チームが共に負ける感じはしないのも事実。両方勝利すればスティーラーズatペイトリオッツというAFCのチャンピオンゲームとなるでしょう。どちらかしか勝利しなかった場合、勝利したチームがスーパーボウルでしょうか。
 NFCはイーグルスが勝率トップ。続くバイキングス。この両チームはレギュラーシーズンでは対戦がありませんでした。イーグルスはチーム快進撃の中心となったQBウェンツが負傷で今季絶望となって、QBフォールズに託すしかありません。WEEK17のカウボーイズ戦はフォールズもあまり出ていないので消化試合でしたから参考になりません。どのような秘策を練ってきているのか注目です。バイキングスは地区内で最強のはずだったパッカーズがQBロジャースの負傷などもあって低迷するなど地区内での対戦では、優位で地区優勝を勝ち取りました。負けた相手はスティーラーズ、ライオンズ、パンサーズです。
 というわけで、NFCはワイルドカードの勝者がスーパーボウルまで行くチャンスをちょっとばかり多く持っているんじゃないかと見ているのですが、どうでしょうか。

 アメリカンフットボールの用語、この文章独特の略語などはこちらに解説しています

 

ワイルドカードを勝ち上がったチームは?

 日本時間の2018年1月7日、8日に行われたワイルドカード。順当な結果もあれば、意外な結果もありました。BSNHKでの放送はまだなのですが、結果だけは先に書いておかないとすぐ次の試合が始まってしまいますので……。ビデオで見た試合は少し詳しく。あとで書き足します。

 タイタンズatチーフス 22-21
 なんということでしょう。この結末は予想できませんでした。チーフスはプレイオフではなかなか思うようにいかない印象がさらに強くなってしまいました。タイタンズのディフェンスは、名将ディック・ルボーです。シーズン中からスティーラーズのような守備を見せていましたがこの試合の後半はとくに素晴らしく、チーフスはリードしていたのでケガを恐れたわけではないと思いながらも、TEケルシーを脳震盪で失ったこともあってか、QBスミスも走りにくかったかも。でもねえ、まさかの1点差。その脳震盪のシーンでは反則になってもおかしくなかったのにありませんでした。ともあれ前半はチーフスがしっかり点を入れます。後半はタイタンズの#22ヘンリーが走る。止められない。チーフスの残念なことは、マリオタからINTしても点を追加できなかったこと。さらにFGでいいのに、2ミニッツ前のシリーズのプレーコールが謎。3d9でパスはわかりますが投げられなくてスミスのスクランブル。ノーゲインだったのが痛かったです。4dギャンブル。ここでロングパス? まだ時間があったのに。ここは1dを取って2ミニッツに入りたかったはずです。プレーコールなのかスミスの判断なのかわかりませんが、痛恨でした。一方、タイタンズは、マリオタが自分のパスを自分でキャッチしてTDする(守備がはじいたボールですが)、おそらく何年も語り草になるであろうプレーによって状況を一変させたのです。ラッキーというだけではすまないアスリートの凄味を見たような気がしました。
 ファルコンズatラムズ 26-13
 ファルコンズは強いとは思いつつ、今季のラムズもよかったのに。この点差でした。ラムズのヘッドコーチはショーン・マクベイ。なんと32歳。前職はレッドスキンズのオフェンス・コーディネーターでした。バリバリの若いヘッドコーチがこれからどのようなチームにしていくのか、楽しみです。そして久しぶりのロサンゼルスコロシアムでのプレイオフ。ところが初っぱなからスペシャルチームがギクシャク。ターンオーバーで相手のボールになってしまう。このあともスペシャルチームのミスでTOとなりました。これで後手に回ったのはラムズの敗因かもしれません。ラムズはラン(RBガーリー)もパスもすばらしいプレーを見せました。ファルコンズはFGなども決めて少しずつ差を広げます。ラムズがやっとTDしたときには2ミニッツ。したたかなファルコンズという印象です。
 ビルズatジャガーズ 3-10
 ディフェンスマッチというか、野球みたいなスコア。前半3-3。ワイルドカードの4試合中一番地味。でも、私には懐かしい。70年代のNFLではこういうゲームは珍しくありませんでした。そもそもフットボールは「陣取り」と言われるぐらい、ポジションを奪い合うゲーム。この試合ではキッキング、パント、TOが重要になります。前半、圧倒的にビルズはボールを持っていたのに3点。ジャガーズはわずかな時間で3点。この差が後半に現れます。3Q残り42秒で4dギャンブルをパスで決めてやっとジャガーズがTD。ジャガーズQBボートルズは走ることもできる。オフェンスの時間稼ぎもできる。ビルズのQBテイラーはロングパスがなかなか決まらない。短いパスはいいんだけど。惜しいプレーもあって決まっていればなあ、という場面がいくつか。サイドラインに出ていたレシーバー、RBマッコイのランが炸裂したと思ったらホールディングの反則。最後にチャンスが来たもののQBテイラーは負傷でいなくてバックアップQBではね。INTで終わりました。ジャガーズは2007年にワイルドカードでスティーラーズを倒し、デビジョナルプレイオフでペイトリオッツに負けています。あの頃のファンにとっては次の試合が待ち遠しいでしょうね。
 パンサーズatセインツ 26-31
 セインツはQBブリーズはINTされているし、期待のRBたちもあまり走れていなかったのにこの点差。試合を見てみないとなんとも言えませんが、セインツってしたたかですよね。お互いにやりたいことをさせない守備が光った前半。セインツはブリーズのロングパス一発でTD。80ヤード。しかもこれがセインツでは今季最長のTDパスでした。今季注目のRBですが、あまり目立ちません。ただ、パスを引き立てる威力はあってプレイアクションパスが有効に機能、スクリーンと多彩なオフェンスでTDを奪うセインツ。このRBイングラム、カマーラともにたまにパスをキャッチするので守備はやりにくいですね。パンサーズも見せ場をつくります。#22マカフリーがショートパスを受けてエンドゾーンまで走りきりました。マカフリーといえば、そう、彼の父はデンヴァー・ブロンコスのスーパーボウル連覇時に大活躍したWRのエド・マカフリーなのです。この試合QBニュートンはほとんど走りません。右足に問題があるらしいといった指摘もありました。ニュートンが走らないとセインツのディフェンスはやりやすいですからね。その差が点になったと言えるかもしれません。

 この結果、デビジョナル・プレイオフはこうなりました。
 ファルコンズatイーグルス
 タイタンズatペイトリオッツ
 ジャガーズatスティーラーズ
 セインツatバイキングス
 予想は難しいですが、AFCは、このまま順当にスティーラーズとペイトリオッツの決勝になるんじゃないか、という感じがありますよね。ただペイトリオッツはいわば仮想スティーラーズみたいなタイタンズとやるので苦しむかもしれません。まあ、負ける感じはないか。スティーラーズはジャガーズの守備を乗り越えないといけません。WEEK5で対戦していて、9-30でジャガーズが勝利しています。しかもスティーラーズのホームゲームだったのに。5回もINTされたロスリスバーガー。2007年にジャガーズがワイルドカードで出てきたときも、スティーラーズは僅差で負けています。苦手意識があるか。さて今度はどうでしょうか。雪辱なるか。
 NFCは残った4チームのどこが出てきてもおかしくはありません。イーグルスはQBがケガで交代してしまったのでシーズンのときのようなパワーは期待できません。ファルコンズはラムズを撃破してのっています。チャンスだと思っているでしょう。バイキングスはすばらしいシーズンでした。そのシーズンはWEEK1でセインツを倒したところからはじまるのです。この試合(今季最初のMNF)の印象は、セインツはRBによる攻撃で幅を広げようと改造中という印象。実はセインツはRBピーターソンがいたのですけどもその後10月にカージナルスへ放出。RBの新人カマラがその後活躍します。でも、ラン攻撃とパス攻撃を両立させるのはなかなか大変(それだけオフェンスラインの仕事が増える)。ワイルドカードでパンサーズを破ったセインツですが、今季の課題のRBではなくブリーズのパスでゲームを組み立てていました。それだけに、このバイキングス戦はとても興味深いです。バイキングスは開幕時、QBはブラッドフォードでした。しかしWEEK2からはキーナムとなりその後の快進撃です。WEEK14でパンサーズに負けた試合では2INTをくらっています。セインツの守備がキーナムを苦しませることができるのかどうか。楽しみな試合です。

 

ディビジョナルプレイオフは意外な結果に

 速報です。まだ詳しくビデオを見ているわけではありません。

 ファルコンズatイーグルス 10-15
 なんと、イーグルス。やっちゃいましたね。3回のFGをしっかり決める。TDは1つだけで抑えきってしまいました。この試合は当初はファルコンズが堂々と試合をしていたのに、シードされたこともあって準備の期間を取ることができ休養できたイーグルスのディフェンス陣たち、つまりフレッシュでヘルシーな連中に真綿で首を絞められるように息の根を止められていく展開だったとも言えます。イーグルスの勝因はこの守備陣。そして攻撃ではQBフォールズがバカなことをしなかったどころか、ラッキーだったことが大きいですね。前半終了間際に、やってはいけないパスを投げてみごとにINTと思ったらなんと膝で蹴り上げるような感じになって、そのままボールがWRに戻ってくる。滅多にないことです。そしてこれを53ヤードのFGに結びつける。この試合は風が強くパスやパントが失速するシーンを見ましたが、このときのFGについてはむしろ追い風だったのです。こんなに幸運が重なるなんて。もっとも、その前にTDしたシリーズ(2Q、残り12分)は見事でした。ブロッカーみたいにラインのすぐ後ろの位置にいた#13WRアゴラ―へのリバース。これでいっきにゴール前に迫ったのです。パスに不安のQBがいる以上、WRといえどもランプレーのバリエーションに参加するのは当然です。それがみごとに決まった。準備していたということです。もっとも象徴的だったのは、試合の残り4分切ってからのファルコンズの攻撃です。4d6からのギャンブルを見事に成功させたのにTDを奪うことができませんでした。エンドゾーンまで2ヤードまで迫ったのに、です。これはもう地元イーグルスのパワーとしかいいようがないですね。

 タイタンズatペイトリオッツ 14-35
 タイタンズはこれから発展する途上にあるのだと思いましょう。QBマリオタもTDを奪っていますが、それを上回るペイトリオッツ。1d数はタイタンズ15に対してペイトリオッツは31です。TD数も2と5。ペイトリオッツがペナルティ4に対して10もくらう点も力の差ですね。最初のシリーズはどちらもパント。ですが、タイタンズの攻撃はその後噛み合ってTDを先取。これに目が覚めたのか、ペイトリオッツのスピードがいっきに上昇。この試合ですごいと思ったのは、ペイトリオッツの1秒は、他のチームの1秒とは違うってことです。攻撃中心のチームは短時間で得点するかわりに点の取り合いになって時間のコントロールが下手だったりもするのに、ペイトリオッツはしっかり時間をかけて4分とか5分のドライブでTDするかと思えばわずか2分ほど、たったの6プレイで点を取ることもできる。この試合、前半でほぼ見えてしまいましたが、3Qで終了という感じでした。マリオタはいまの彼としてはまあよくやれたと思います。チーム全体のレベルがあと一歩、足りませんでした。とくに守備。前半の終了間際にせっかくペイトリオッツをパントに追い込んだと思ったら、反則で1dを与えてしまったあと、キレちゃいましたね。QBブレイディのすごさをいまさら言うまでもないのですが、TEグロンカオスキーを含めWRやRBらがマンカーバーまたはダブルカバーでもパスを通すのです。空いていないから投げない、というのではなく、レシーバー側の技術を信じて正確に投げてキャッチさせてしまう。試合後のインタビューでグロンカオスキーはチームワークを強調していましたが、まさにそれ。囮になることもあれば、犠牲になることもある。そして困難な場面でもベストを尽くす。文字で書くと当たり前のように思えてしまうことを、力強くやる。まいりましたね。ペイトリオッツ、7年連続のチャンピオンシップ進出です。

 ジャガーズatスティーラーズ 45-42
 ジャガーズは守備で点の取れるチームですが、この日もロスリスバーガーからINTにファンブルリカバーと積極的で、リターンTDを奪った分だけ優位となりました。スティーラーズはパスで5TD、ランで1TD。ジャガーズはパスで1TD、ランで4TDと対象的。そこにリターンTDが加わって結果、オフェンスの数字としてはスティーラーズのほうがいいのに、点差ではジャガーズがしっかり勝利したゲームとなりました。先行逃げ切り型のジャガーズとスロースターターのスティーラーズといった性格の差もゲームに大きく影響したかもしれません。前半の点数が大きかったですね。ジャガーズは#27フォーネットがいいところで活躍する展開。スティーラーズは4dギャンブルに失敗する展開。とくにスティーラーズの守備はなかなかジャガーズからボールを奪えませんでした。追いつこうとしてもさらに点をいれられてはムリですね。ジャガーズは試合を通じて成長中とも言えますのでチャンピオンシップでどんなパフォーマンスを見せるのか楽しみです。

 セインツatバイキングス 24-29
 試合残り3分の間に4回もリードが変わるという、希に見る接戦。それを制したのは時間がもう中でFGを狙おうとサイドラインに出るパスをQBキーナムが投げます。#14ディグスがそれをキャッチ。自陣39ヤードから敵陣40ヤードぐらいを狙ったパスです。すぐ出ないと時計は止まらない。だからサイドライン側に投げたのですが、セインツの守備がタックルミス。するともう誰もいないことに気づいたディグスはサイドラインに出ずにエンドゾーンへ走りきったのです。これが決勝点となりました。このときのプレイコール「Buffalo Right Seven Heaven」は語り草になることでしょう。試合全体としてはバイキングスが支配していたと思います。それをほぼひっくり返すことに成功しかかったセインツはさすがでした。最後のタックルミスは、パスをキャッチさせてもいいのでインバウンドでダウンさせようと考えた結果のミスだったのではないかと推測します。中でダウンすれば時間切れになっていたでしょう。それがまさかの決勝点になるとは……。すさまじいですね。バイキングスもまた、試合を通じて成長していく感じもあります。ケガをしてたQBブラッドフォードも復帰可能だそうですが、運のあるキーナムで行くのでしょう。

 この結果、チャンピオンシップはこうなりました。

 ジャガーズatペイトリオッツ
 バイキングスatイーグルス

 日本時間1月22日(月)に予定されています。BSNHKは生中継をするとのこと。
 展望としては、ジャガーズの守備力でペイトリオッツをどこまでロースコアに抑えることができるか。スティーラーズ戦のように点の取り合いをすると負けてしまうかもしれないので、ブレイディにプレッシャーを与え、できればTOを奪うことです。なおジャガーズは今季、ペイトリオッツが撃破したタイタンズに2回対戦して負けていますので、かなりがんばらないといけないです。
 また直前になってブレイディが右手をケガをしたらしいとの報道があって、それが試合に影響するほどなのかどうかも注目です。負傷者リストでは、「Questionable」。これは直前に変更になるかもしれませんけども。もし、ブレイディの調子が悪いようなら、ジャガーズはつけ込めるでしょう。
 イーグルスはチーム力でここまで来ている感じ。QBフォールズはこれまでも結果の出ない選手としてイマイチな存在でしたが、それが劇的に変化することはなさそう。ホームでやれるので、勢いそのままにチーム力で勝利を目指すことになるでしょう。バイキングスは守備も攻撃ものってきていますが、ここではアウェイになることから、前の試合の幸運がそのまま続くのかどうか注目です。バイキングスの魅力としては守備も見逃せず、守備は比較的アウェイでも強いはずなので、前半、イーグルスのオフェンスをいかに食い止めるか。逆転TDのできそうにないイーグルスは試合全体を通じてボールをコントロールして逃げ切りたいはずです。ですから長時間の攻撃をさせてもしょうがないけれども、点だけは与えないようなディフェンスができればバイキングスに優位ではないかと思います。

チャンピオンシップ

 ジャガーズatペイトリオッツ 20-24
 前半は、ほぼ完璧に試合を進めたジャガーズ。14-10。抑え切れていない印象を前半終了間際に感じたのですが、とくにペイトリオッツの守備は、ジャガーズのランもパスもなかなか対応しきれず。後半になったら、ペイトリオッツの守備はジャガーズのランを徹底して止めようとし、それがしだいにモメンタムをたぐり寄せていくのです。追加点で突き放したいジャガーズに思うようにさせないのです。前半に脳震盪でグロンカウスキーを失ったあとも、アメンドラらが活躍してかろうじてオフェンスを機能させつつ、ジャガーズにFGしか与えない。TOを奪ったのに点に結びつけられなかったのが痛かったですね。際どい試合だっただけに、ジャガーズは悔しいことでしょう。あと少しでした。ペイトリオッツは10回目のスーパーボウルです。

 バイキングスatイーグルス 7-38
 思いがけない大差となりました。やっぱりスーパーボウル開催地のチームは出られないのですね。今季は最大のチャンスと思いましたが、イーグルスはなにをやってもうまくいく。それはホームだから。バイキングスのミスとしては、第1シードを取れなかったことかもしれません。それにしても、屋外のフィールドで、例によって滑りやすい(中央部分だけ芝を替えたらしいですが)ことも多少は関係したか。でもなによりすごいのは、BSNHKの解説をした河口さんも言うようにイーグルスのオフェンスラインです。QBフォールズは主役ではないことを自覚しているのでしょう。チームプレイに徹します。それができるようにお膳立てするのがオフェンスライン。見事です。また、WR、TE、RB、FBらの動きも素晴らしく、ターゲットが複数あいている状態が何度もありました。バイキングスはカバーできないままズルズルと点を奪われていく感じ。フォールズは主役ではないとはいえ、ベテランの域に入ってきただけのことはあり、舞い上がることなく丁寧に仕事をしていました。見直しました。バイキングスは、なんといっても攻撃の糸口を見つける前に点差が開いたことが大きかったですね。あとはひたすらキャッチアップするためのムリ目のプレーに終始し、もちろんそれは滅多にうまくいかないのです。前半の終了間際に、バイキングスの守備がルーズになっている(どうせFGだろ的な)のを見抜いてTDを奪いに行ったプレーコールで、イーグルスは勝利を決めたと思います。

 この結果、日本時間2月5日(月)のスーパーボウルは、ペイトリオッツ対イーグルスとなりました。
 これまでデータがあるかはわかりませんが、私の偏見としてですけど、前の試合大勝したチームはスーパーボウルで苦戦する傾向があるように思われます。ペイトリオッツは、イーグルスの弱点をついてくるでしょう。そのときに、チーム力がどう発揮されるのか。さらにフォールズが並のQBからスーパーなプレーヤーに変身するのかどうかが見所です。過去10回スーパーボウルに出ているペイトリオッツですが、なぜかNYジャイアンツに2敗しています。Super Bowl XLII(2008年)は、ほとんどサックの場面にイーライ・マニングがロングパスを投げてそれをWRタイリーが「ヘルメット・キャッチ(The Helmat Catch)」で奇跡的に成功させるなどして、それまで無敗できたペイトリオッツに最後の試合で勝利したのでした。Super Bowl XLVI(2012年)では、ジャイアンツは果敢なパスラッシュでブレイディを苦しめます。珍しくブレイディがセーフティをくらうなど開始早々からジャイアンツのペース。最後のシリーズでもペイトリオッツはTDすれば逆転勝利なのですが、すんなりとパスが通せず時間がなくなっていき最後はヘイルメリー・パスを投げるしかなくなったのでした。
 いずれにせよペイトリオッツを破るための大きな要因としては、オフェンスとディフェンスのラインメンたちのパワーがカギになります。イーグルスはそれに匹敵するラインの活躍を見せなければなりません。ジャガーズのサックを受けても立ち上がったブレイディですので、かなりしっかりやらないと、勝てない感じがします。前のスーパーボウルに出たファルコンズと対戦したときのイーグルスは、かなりラッキーに勝てた印象もあるのですが、ゲームの緊張を最後まで保つことができたのはオフェンスラインが崩れなかったからだとも言えます。たとえば、LT(左のタックル)ハラポウリバティ・ベイタイ。「Big V」と呼ばれるこのテキサス出身の巨漢です。まあ、あんまり映らないですが。LTはQBのブラインドサイドを守る重要なポジションです。パスのときは突っ込んで来るディフェンスを必ず仕留める。ランのときは走路を開ける。たまたま勝てた試合かもしれないけれども、ラインがしっかりしていなければ、QBフォールズもなにもできません。
 こちらのビデオでもご覧ください(英語)。Offensive Line of the Week: Eagles’ unit paves way for Nick Foles
 バイキングス戦で、それまでディフェンスで1位とされていた強力なバイキングスに対して、しっかり対応していたオフェンスラインなのです。こうしてまず自分たちの攻撃を整えていくことができれば、ディフェンスでペイトリオッツをなんとか止めることもあり得るでしょう。イーグルスはレギュラーシーズンの成績として、オフェンス3位、ディフェンス4位ぐらいのポジション。ペイトリオッツはオフェンス2位、ディフェンス5位。つまりイーグルスの勝機は、3位のオフェンスで5位のディフェンス(ペイトリオッツ)を撃ち抜くのが得策だろうと思うのです。これをペイトリオッツ側から見れば、なんとかイーグルスのオフェンスとくにQBをコントロールできれば勝てるわけです。スーパーボウルはスーパーなプレイも楽しみですが、それを支える前提としての地道な部分も見守りたいと思います。

 

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ますもと・てつろう

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投稿者プロフィール

「かきっと!」の編集長です。記事もいろいろ書いています。

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