フリーランスは定年がない。だけど、老後もない?

 フリーランスは、何歳までも働くことができるとも言えるし、定年が明確ではないため、老後がありそうでなさそうで。
 どう考えたらいいのでしょう。私の例を書いてみます。ただし、現時点(2017年7月27日)の考えで、そのうち変わるかもしれません。

仕事が変わると人も変わる

 私の父親はサラリーマンでした。ところが会社の経営方針によって定年まであと数年というところで、職場がとんでもない場所に移転。そもそもが通勤の便利な場所に住んでいたのに、まさか経営難のために会社が土地を売って、まったく土地勘もなにもない場所に移動してしまうとは。
 単身赴任して定年まで勤めるか、早期退職をするか。父親は後者を選び、それからさまざまなところで働きました。最後はシルバー人材センターに登録して、「もういいだろう」というところまで(70歳を少し過ぎていました)仕事をしていたのです。その一つはタクシーの運転手。ガンガン稼ぎ営業所のトップ争いに加わるのですが、このタクシー会社もまた合併などによって経営が変わり、辞めてしまう。その後は、牛乳工場や百貨店のバックヤードなどで働きました。
 タクシー運転手の頃には、私も仕事をしていました。働かなくてもいいのなら、やめてほしいと思っていました。交通事故や当時はタクシー運転手を狙った強盗事件も多く、家族は心配ばかり。また不規則な出勤時間もいろいろ摩擦を起こしていました。
 当人はそもそも車の運転が大好きなものですから、夢中でやっていたようです。「今日は○○さんを乗せた」と有名人を乗せた話だとか、幸運にも長距離をゲットしたときの話などをイキイキと語るわけですね。
 ま、仕事が変わると、ここまで人が変わるのか、というぐらい、影響を受けるものだと思いました。
 つまり、フリーランスだった人が、晩年、仕事を変えたとき、けっこう人間性も変わることがあるよ、という程度の話ですけども。

定年のない仕事をしたい

 一方、私は、「定年のない仕事をしたい」と考えていました。できるだけ、自分なりにやっていきたいと。ある人から、「江戸時代の職人みたいだ」と言われましたし、ある人からは「時代劇に出てくる素浪人」とも言われました。
 前者は「宵越しの金は持たぬ」で知られる江戸っ子的な世界。加えて「家業」。家内制手工業的な。『たけくらべ』(樋口一葉)には、年末の「お酉様」で売られる熊手を作る話が出てきますが、そんな感じ。または、もっと上等な工芸品を含めた職人さん。注文がある限り、何歳になっても働き続ける、作り続けるということでしょう。
 後者は、侍(さむらい)というポジションでありながら、どこの藩にも属さず、属したいんだけどチャンスがないままで、それでいて自立(自分の足で立っている)ことを目指す「心意気」の面でのことか、と勝手に解釈しています。生きる手立てを模索しながら生きる、みたいな。

 私は、履歴書に書くのが面倒になるぐらい、いくつもの会社でサラリーマンもしていましたが、結局はフリーランスに。

 そしてもはや、いまさら就職なんてムリです、というところまでフリーランスでやっております。最後に履歴書を書いたのはいつだったか、思い出せません。

 個人事業主。屋号は「イリヤEブックス」。そして行政書事務所を開設したのでその所長でもあります。聖地書店プロジェクト編集長でもあるし……。でも、実態はフリーランス。
 成りたいものになれたのか、どうか。よくわかりませんけども。とにかく、いまのところ定年のない仕事に就いております。

老後は65歳からなのか?

 定年がないということは、退職金もありません(積立などで自営業でも退職金が貰える制度もありますけども)。
 どうして、こんな話をしているかと言えば、

 老後資金を使いはじめる年齢の分布をみると、「65歳」が39.5%と最も多く、次いで「60歳」「70歳」の順となっています。と、生命保険文化センターのサイトにある『「老後」とはいつから?』の記事があって、そういう世代になっているのだ、と気づいたからです。

 これでいけば、65歳から「老後」となりそう。いまの感覚だと少し早い気もします。

 そういえば、年賀状に同級生が「定年だから」とか書いていたなあ。自分の事業をやっている人も「経営から退く」と書いている人もいました。早いだろうと思ったのですが、どうやらなにかやりたいことがあるらしい。「第二の人生です」ということです。この人は、私が「2017年から年賀状をやめます」と書いたら「賛成!」と返事が来ました。

 私は定年のない世界に住んでいるから、第二の人生が特定の年齢で否応なくやってくるようなこともありません。その気になれば、明日から第二の人生とやらをはじめることだってできるかもしれません。フリーというのはそういうことです。

 老後もないんだ、と気づいたわけですが、それはたとえばアーティストのように死ぬまで現役の許される人も例外的にはいるでしょうけれども、ただフリーなだけではそれほど社会も寛容ではないはず。注文が来なくなれば、その仕事は終わります。やりたくてもできません。

老後になる前に、やっておくべきことは?

 思い出すのは、若かりし頃、出張校正だけ手伝ってくれるOBがいたのです。「カネないから大変だよ」とぼやいていましたが、おそらくあの頃のその人とそれほど変わらない年齢になってきた。

 じゃあ、なにをしたって、否応なく老後は来るんじゃん。

 それにどう対応するか。老後になってしまう前に、やっておくべきことはないか。
 そんなことを、考えているわけです。

 年金だけで暮らせるのなら、65歳から年金を貰ってあとは「老後」を過ごすのもいいでしょう。ですが、フリーランスが長い人ほど、年金額は少なく、預貯金も少ない場合があると思います。過去に、著名な作家や芸術家たちは、老いてからは誰かを頼って身を寄せて細々と生きているなんてこともありますので、フリーランスも「細々」がとりあえずイメージしやすい。

 年金が少ないのなら、それを補うものを用意しておかなければなりません。フリーランスなら特に。たとえば家賃収入が得られるとか、ですね。

 

1、資産をお金に換える

 みなさんが不動産をはじめ、いろんな資産を持っているなら、それをお金に変えていく時期がやってきます。
 不動産を賃貸にする。または売却する。リバースモーゲージを使う、などがまず考えられます。
 コレクションなどを切り売りしていくのは、悪いことではないでしょう。断捨離にもなりますしね。メルカリなどを利用して、少しずつ売っていく方法を考えてください。

 有形の資産がない私としては、無形の資産をかき集めてお金に変えていく作業をしておかなければなりません。それが果たしていくらになるのか……。

 

2、自販機をつくる

 できれば、長期にわたって、毎月入って来るような自動販売機みたいな資産を持ちたいものです。

 たとえば、印税。かつて出した書籍の印税が、その後も入り続けている幸せな人は、これを老後の経済にプラスする。
 もし、それがないのなら、セルフパブリッシングでもいいので、自分のノウハウなどを本にして、売っていく。

 自販機といっても、ただ設置すればいいわけではなく、品揃えで工夫したり、電気代といったコストもかかります。商売ですから簡単ではありません。印税を長期にわたって手にするのはなかなか難しく、よっぽどのベストセラーでも、突然、売れなくなることはあるのですから、工夫が必要になります。

 フリーランスにとっては、自分のノウハウを教える講座なども考えられます。いまの時代に必要なノウハウをお持ちじゃないでしょうか。

 老後の大きな問題の1つは、資産を切り売りできたとしても、収入が年金以外にない、という点です。なにかを生み出さない限り、収入は得られないのだとすれば、老後でもやれる範囲のことで、収入になることを考える必要があるのではないでしょうか。

 老後になる前に、それを考えて、見つけておきたいものです。

 

3、重荷を減らす

 気球でも、上昇する力がなくなってきたら、バラスト(重石)を捨てるなどして軽くしていきますよね。
 この点で、フリーランスも、できるだけ身軽な状態になることを目指すといいのではないでしょうか。

 身軽さは、人によって違うでしょうし、ライフスタイルによっても違うので決めつけることはできません。でも、少なくともローンは完済するといったことを考えておくのもいいかもしれません。

 そうでなくても、カードローンなどでは、定期収入がなくなったときには新たな借り入れができない、ローンが残っている場合は一括返済する規定のあるものもあります。
 60歳以上になると、新たな借り入れは難しくなります。「借り入れしない生活」を考えなければならないでしょう。
 個人事業主としての借り入れがある場合、「借りられるうちに借りてしまえ」という考えもあるかもしれませんが、重荷を減らしたほうが動きやすくなると思いますので、この点は慎重に考えたいところです。

 そのほか、自分にとっての「重荷」を少し減らしたり、ほかの家族や他人に転嫁するなどして、身軽になる工夫をしておきたいところですね。人に頼ってもいいと思うのです。ぜんぶ自分でやるのは大変ですから。

(本稿は、かきぶろ「フリーランスは定年がないけど、老後もない?」2017年06月20日を元に改稿しています)

 

参考になる本

 

『老いる準備 介護することされること』(上野千鶴子著)

 

『おひとりさまの老後』(上野千鶴子)

 

『マンガ 自営業の老後』(上田惣子)

 

『老後破産:長寿という悪夢』(NHKスペシャル取材班)

 

『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(藤田孝典)

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ますもと・てつろう

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「かきっと!」の編集長です。記事もいろいろ書いています。

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