町を歩いていて、ふと気付くと、そこに異様な魅力を放つ物体があったとします。

 それは果たしてただの物体なのか。それとも建築物なのか。アートなのか。

 いずれにせよ、私たちはワクワクしながらその物体に引き寄せられていきます。

 R&Sie(n)による「ヒプノティック・チェンバー」。→十和田市現代美術館の解説

 ヒプノティックは、フランス語で「催眠」。チェンバーは英語で「部屋」。催眠の部屋──。つまりこれは部屋なのです。

 とはいえ、この部屋へ入るのは、少し勇気がいりそうですね。

 

 固い物質なのに、人体のような艶めかしさがあります。

 もし中に入ったら、私たちはこの部屋の一部となってしまうかもしれません。

 

 

 

 

 ところが、中へ入ると、そこでわたしたを迎えるのは、ディスプレイと構造物。

 それでいて、不思議と気持ちの落ち着きも感じられます。

 まったく外とは違う、内側。

 わたしたちは守られている。そして隔てられている。

 まさに、部屋なのです。

入り口を振り返ると、そこは確実に、外につながっています。

でも、そこは、さっき入ったときと同じ世界でしょうか?

さっき、中へ入るときに感じた違和感は、今度は、外に対して感じるのです。

果たして外に出ても大丈夫だろうか。そこは自分の知っている世界だろうか。

不思議な楽しみ、親しみ、気味の悪さ……。

いずれにせよ、まるで自分の体内(たとえば耳の穴)を覗き込んだときのような感覚です。

 

Hypnotic Chamber / 十和田市現代美術館, 青森, 2010 © R&Sie(n)

関連リンク

 R&Sie(n)

 十和田市現代美術館

 木内建築計画事務所 Hypnotic Chamber

 丸紅情報システムズ・フランス人建築家のフランソワ・ロッシュ氏のインタビュー

(訪問・撮影 2019年7月)

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

ますもと・てつろう

投稿者プロフィール

「かきっと!」の編集長です。記事もいろいろ書いています。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

公式ツイッター

編集長ツイッター

ページ上部へ戻る