あっという間に終わってしまうプレイオフですが、ワイルドカードからスーパーボウルまでをこの記事でフォローしていきます。最新記事が上に来ます。
 なお、アメリカンフットボール、NFLについての用語などの解説は過去記事のこちらをどうぞ。

ディビジョナル・プレイオフ

 日本時間1月13日~14日に開催されたディビジョナル・プレイオフはこの組み合わせとなりました。黄金カードばっかりです。ただし、片方は休みなしで戦っていて、片方は1週間お休みしていますので、どうしたってホームチームにアドバンテージが大きくあるのは事実。同時に思わぬ逆転劇も潜んでいるのがディビジョナル・プレイオフなのです。

 コルツ@チーフス(AFC)

【事前】興味深い対決となりました。チーフスのQBマホームズとコルツのQBラック。さらにQBサック数で上回るチーフス守備とコルツ攻撃。見所の多い試合になると思います。過去の対戦結果は今回にはほとんど関係ないでしょう。チーフスはマホームズになってからまったく違うチームになっていると思っていいからです。イメージですがコルツは着々とゲームを作っていくチーム。チーフスはいわばアドリブというか、思わぬところからゲームを動かすタイプ。1週間休んで戦略を立てているであろうチーフスが優位であることは確かですが、チーム力として高いレベルにあるコルツにも突き崩せるパワーはあるはず。とくにチーフスは守備に波があるのでそこを突くことができるか。

【結果】コルツ 13-31 チーフス
 雪が舞うスタジアム。予想以上の大差となりました。コルツがなにもできいないうちに、チーフスは2TD。コルツのオフェンスラインが、チーフスのディフェンスにコントロールされてしまい1dも取れないまま時間が過ぎていきました。それだけコルツは守備の時間が長くなり、疲弊していきます。チーフスQBマホームズの能力のすごさは、たとえば2Qに右にロールアウト。ネイキッドになってしまい、レシーバーも見つからず、投げ捨てるタイミング。そこで投げてケルシーがキャッチしたわけですが、ケルシー以外には取れないところに投げていました。コルツはパントブロックからTDをあげたものの、すぐにチーフスは最高のドライブでTDを取り返す展開。前半で勝負あったか、という感じ。コルツのキッカーはビナティエリ。まだ現役なんですよ、ペイトリオッツ時代が懐かしい。コルツは完敗。チーフスは1週休んで勝負勘が鈍るどころかますます冴えてきた印象。

 カウボーイズ@ラムズ(NFC)

【事前】ある意味、似た者同士のような戦い。QBプレスコットとQBゴフ。私が見ている範囲ではゴフのパスの方が素晴らしいとは思うものの。どちらのチームも強力なRBとWRがいますのでオフェンスではどちらも素晴らしい。土壇場に強いイメージのあるカウボーイズですから、接戦になれば勝機はあるはず。とくにカウボーイズにとっては不安定なオフェンスよりも、強いディフェンスでラムズに対抗していきたいところです。ラムズの強力オフェンスに死角はあるのか。QBゴフも多少の機動力はあるのですが、プレスコットほどではないので、なんとかプレッシャーをかけ続けたいでしょうね。ラムズのオフェンスラインの腕の見せ所でもあります。

【結果】カウボーイズ 22-30 ラムズ
 ジャブの応酬。ただラムズの攻撃はゆったりと構えていて時間を消費していきます。カウボーイズが優勢かと思われたのも束の間、ラムズはRBアンダーソンのロングゲインでいっきに前進。それでもTDはなかなか簡単ではないままに時間が経過。ラムズは徐々にエンジンがかかってくるのか。プレイアクションを2つミドルに決めてスクリーンパス。パワーをかけてきた。フォーメーションはあまり凝らないけど見せ方を変えていく手法でカウボーイズ守備を迷わせる。9分もドライブしてTDする。明らかにラムズのオフェンスラインは元気。焦るカウボーイズに反則が出れば、エースRBガーリーが切り裂く。いっきにラムズは自分たちのペースへ。4Q、カウボーイズも必死の反撃。4dギャンブルからエースRBエリオットが止められるシーンでラムズはかなり優位となった。最後にはラムズはQBゴフが自ら走る、いわばスペシャルプレイを見せて勝利を決定的にした。これはこの試合のためというより、チャンピオンシップでイーグルスかセインツと戦うことを意識して入れたプレーコールではないかとさえ思うほど。点差以上にラムズ強し。

 チャージャーズ@ペイトリオッツ(AFC)

【事前】ベタランQB対決。ただしスーパーボウルで無敵のイメージを持つペイトリオッツに対して、チャージャーズはなかなか届かない残念なイメージ。それを覆せるか。そしてチャージャーズQBリバースにとっては、最高のQBブレイディと対決して勝利することはとても重要なことです。今季のペイトリオッツが以前ほどの恐ろしいばかりの強さを感じさせないのは、主に守備の弱体化によると思いますので、チャージャーズにとっては一泡ふかせるチャンスはあるはず。ペイトリオッツ守備のいまいちさはWeek14でドルフィンズに33-34で負けた試合に代表されます。レイヴンズに勝利したやり方がペイトリオッツに通用するか、興味深いですね。

【結果】チャージャーズ 28-41 ペイトリオッツ
 ペイトリオッツの守備が奮起したのかと言えば、そういうわけではなく、オフェンス力でカバーした印象。つまり力でねじ伏せた感じでしょうか。最初のドライブでまっすぐTDに結びつけたペイトリオッツ。研究していたペイトリオッツの守備の穴をついてお返ししたチャージャーズ。ここまではワクワクドキドキでした。ところがこのあと。攻撃をすればすべてTDになるペイトリオッツ。一方、パントが増えるチャージャーズ。気がつけば取り返しがつかないほどの点差。その主因はむしろチャージャーズの守備でした。休養十分でパワー全開のペイトリオッツのオフェンスラインにやられっぱなし。中央付近のランがよく出ていたのが印象的です。RBミシェルは24回キャリーで129ヤード、3TDと大活躍でした。このランのおかげで、QBブレイディはムリなパスは投げなくてすみました。ムリをしなければならないのはQBリバース。前半だけで7-35はもう絶望的ですよね。後半も特筆すべきことは起きず、エデルマンとグロンカオスキーの大活躍だとか。「ああ、いつものペイトリオッツ」。地元ペイトリオッツファンでも試合終了前に帰宅したというほどの大差でした。こんなに差があるの?とビックリですね。

 イーグルス@セインツ(NFC)

【事前】これまたシブい。カンファレンスのチャンピオンシップゲームのような組み合わせですね。イーグルスは今季、薄氷の上を渡るようにして勝ち進んできました。王者の意地としか言いようがありません。スーパーボウルを制した翌年はチーム力を維持することが難しく(スタープレーヤーが外に出てしまうことが多いので)、またムリがたたってケガ人が増えたりもして、プラン通りに試合を組み立てられないことが多いのです。その厳しさに揉まれながらもやってきたイーグルス。一方、セインツは今季、またしても黄金の輝きを取り戻した印象があります。QBブリースにとってもそろそろ有終の美を飾りたい。もう一度スーパーボウルを、と思っていることでしょう。正直、セインツの強さは全盛期のペイトリオッツに似ていて、無慈悲に強い。Week16のスティーラーズ戦などその典型です。あの調子だとイーグルスは本当に厳しいでしょう。

【結果】イーグルス 14-20 セインツ
 セインツのオフェンスからはじまった試合。いきなりイーグルス守備がINT。そこからのTDで先制。波乱の幕開けでした。さらにセインツの攻撃を抑え、イーグルスは次のシリーズもTD。調子いいぞ、なんて思ったのはここまで。結果をご覧の通り、以後、イーグルスは1点も取れないままで終わってしまうのです。これは予想外でした。点の取り合いではなく、冒頭にイーグルスが点を取り、2Q以降はセインツだけが点を取る展開。だからといってセインツが楽勝したわけではありません。3dコンバージョン15回のうち8回成功させ、4dギャンブルも2回やって2回とも成功させての勝利です。セインツの攻撃時間は37分50秒。イーグルスは22分10秒。15分近い差。セインツのゲームプランはシーソーゲームにされないために、イーグルスの攻撃時間を奪うことでした。イーグルスは追いつ追われつに強く気がつけば勝利している、みたいな試合(ミラクルと言えなくもありません)の印象が強いので、セインツはできるだけ落ち着いてコンサバな試合にしたかったのでしょう。セインツの1d獲得は合計25。うちランによる獲得が9回もあります。RBカマーラとRBイングラムを効果的に使ったのです。とくにカマーラは試合を通して平均的にゲインしていました。イングラムは後半に大きくゲインしました。1d獲得のためにパントフェイクもやりましたし、もう1人のQBヒルを入れてのオプションも見せました。シーズン中もヒルが出てくるとダイレクトスナップというかヒルがそのまま走ることが多かったのですが、この試合ではTDパスも試みました。残念ながらホールディングの反則で記録はありません。守備の時間が長くなりイーグルスはさすがにお疲れな感じに。パスをカバーすればカマーラに真ん中をランで切り裂かれるので、お手上げでした。

チャンピオンシップ

 日本時間1月21日に開催予定のチャンピオンシップ。AFC、NFCのそれぞれチャンピオンを決める試合の組み合わせは下記の通りとなりました。この試合の勝者が2月4日のスーパーボウルで対戦します。

 ペイトリオッツ@チーフス(AFC)

 今シーズンそしてこれからのNFLを象徴するような試合です。圧倒的な強さで君臨するペイトリオッツ、QBブレイディ、ヘッドコーチのビル・ベリチェック。そこに立ち向かうのは今シーズのNFLをもっとも盛り上げてくれた若きQBマホームズとチーフス。相撲で言えば、千代の富士対貴乃花(当時は高花田)みたいな世代交代を象徴する試合となるのでしょうか。とても楽しみです。この対戦は、今シーズンWeek6の再試合となります。40-43でペイトリオッツが辛勝しました。このときは@ペイトリオッツでした。今回は@チーフスですから少しはチーフスにアドバンテージがあると見ていいでしょう。また、QBマホームズはWeek6で2INTされています。これは経験の差もあるでしょうから、この3か月の成長でどこまで改善されているかも注目です。チーフスはペイトリオッツの強力オフェンスライン、RBミシェルの鋭いラン、エデルマンのラン・アフター・キャッチ、グロンカオスキーの巨体を利用したゲインなどに対応しなくてはなりません。これは正直、大変です。一方、ペイトリオッツ守備は4Q残り3分あたりで、マホームズは75ヤードのTDパスを成功させて追撃したのが印象的なので、なんとか食い止める策を講じないと投げ負ける可能性も出てきますね。スペシャルチームや反則によって決まってしまうかもしれない、それほど際どい試合になりそうです。

Week6のチーフス@ペイトリオッツ戦

 

 ラムズ@セインツ(NFC)

 ラムズのペースになったときセインツはどうするのか。セインツのペースとなったときラムズはどうするのか。そんなことを考えるとおもしろいですね。どちらのチームも時間を味方につける戦略でチャンピオンシップにやってきました。前の試合ではうまいこと相手の攻撃時間を奪い取っていましたし、自分たちは時間を使って攻撃をし続けるスタイル。相手にボールが渡らなければ必ず勝てると信じているわけです。さて、このカードもシーズン中にありました。Week9。@セインツというのも同じ。結果は35-45でセインツでした。セインツのRBカマーラに比べると、ラムズのRBガーリーは少し走り足りない印象。この試合でもセインツは4dギャンブルを2回やって2回成功させています。だから必ずチャンピオンシップでもやるでしょう。ラムズはそれを止められるか。カギは2Qにあります。Week9では2Qで波にのったセインツが攻撃しまくる。後半のラムズの攻撃に逃げ切りました。ディビジョナル・プレイオフではイーグルスに対して2Qから攻撃を続け最後まで相手に点を入れさせませんでした。ラムズが勝利するには、2Qを制しなければなりませんね。さらに、ラムズQBゴフはチャンピオンシップに残った4チーム中、もっとも美しいプレイアクションパスを見せてくれるQBと言えるのですが、そのゴフから思わぬINTを奪ったセインツの#47MLBのアンザロンなどLB陣は要注意です。左から中央へ急角度に切れ込んでマークを外すレシーバーにパスをしたはずですが、手前でパスラッシュしているであろうLBが突然飛び出してのINTでした。QBからは見えないですからね。プレイアクションパスは読まれると危険。シーズン中ゴフはファンブルロストも5回とやや不安。セインツQBブリーズはファンブル5回ありますがロストは1回だけです。QBゴフの技量も試されます。

Week9のラムズ@セインツ戦
 

 

ワイルドカード

 日本時間1月6日~7日に開催されたワイルドカードを振り返ります。

 コルツ@テキサンズ

 コルツのパスオフェンスがうまくヒットしてコルツが完全に試合を支配しました。こうなると地元とはいえテキサンズには勝ち目がありませんでしたね。テキサンズはわかっているはずなのにパスディフェンスをしっかりやり切れませんでした。QBラックにプレッシャーをかけられないため、いいパスが通ってしまうのです。前半で21-0。後半もテキサンズは守備の時間が長く疲弊していきます。一方、コルツは自分たちのやりたいことをきちんとやっている印象。チームそのものがフレッシュな感じもありますね。21-7でコルツ勝利。

 シーホークス@カウボーイズ

 カウボーイズWRハーンズが足を骨折する痛いシーンもありつつ、ウィルソンがなかなか本領を発揮できないでいる間にカウボーイズが着々と点を入れていく前半。後半になるとシーホークスも点を入れて追いつこうとします。QBウィルソンが自ら走ってTD。カウボーイズのQBプレスコットも走ります。シーホークスにとってもっとも痛いのは、序盤にキッカーがケガでサイドラインに下がってしまったこと。つまりFGを蹴る人がいない。オンサイドキックを蹴る人がいない。接戦ではキッキングはとても重要なのでこのハンデは大きすぎました。24-22でカウボーイズが勝利できたのは、キッカーの差だったとも言えますね。

 チャージャーズ@レイヴンズ

 ベテランQBリバースの勝利でした。地元なのにレイヴンズのQBジャクソンはパスがなかなか思うように決められないのです。これはマズイですね。後半になると地元なのにブーイングが出たほどの散々な出来でした。最後まで出て、なんとかTDを取るものの時すでに遅し。勝機は前半にあったんですけどね。どちらも守備がよく、チャージャーズはいいポジションから何度もオフェンスができたのにTDできずにいました。この時間帯こそレイヴンズが試合を支配できるチャンスだったのですが……。最終的な点差以上にチャージャーズの試合でした。23-17でチャージャーズ勝利。

 イーグルス@ベアーズ

 こちらも接戦となりました。NFLのポストシーズンゲームで1日に2試合とも前半にTDがない、というのは初だそうです。こちらも守備合戦になりました。ベアーズの守備はなかなか強力です。ところがこの試合ではイーグルスも素晴らしい守備を見せました。とくにパス守備はみごと。その結果、最後までもつれる試合となったのです。イーグルスは残り時間のないところでTDをしましたが2ポイントに失敗。1点差で56秒も残しました。ベアーズはキックオフリターンでいいポジションを取り、FGで勝利を得られる位置へ。43ヤードのFGを成功させればベアーズ勝利でした。43ヤードはキッカーとしては成功させたい距離。ところが失敗してしまうのです。なんとシーズンにも4回もポールにあてて失敗させていたというキッカー(名は出しませんが)。大事なところでやってしまったのでした。またこの試合は、審判にとっても厳しい判断を迫られる場面が多く、今後も議論を呼びそうです。16-15でイーグルス勝利。

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ますもと・てつろう

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「かきっと!」の編集長です。記事もいろいろ書いています。

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