仮想通貨、または暗号通貨。英語ではCryptoCurrency(暗号通貨)。
 日本でも、今年5月から話題になってきて、それは仮想通貨を扱う取引所が増えてきた上に、テレビCMをはじめたりもしたからですよね。

 また、それまで数円だったものが何十円にも跳ね上がったり。一番知られているビットコインも、10万円ぐらいから30万超とバブルな動きをしたのも話題となりました。

 それが、6月になって下げ続けてます。どうして? なにがあった?

8月1日問題がある

 まず、大きなテーマとして、8月1日問題があります。

 これはいわゆる分裂騒動です。お家騒動とは違います。
 仮想通貨は800種類ぐらいあるんですけど、その中でもビットコインと並ぶ規模のイーサリアム(ETH)が、イーサリアム・クラシック(イークラ、Ether Classic)に分裂した話は、すでにご存じでしょうか。ハードフォークと呼ばれる分裂が、仮想通貨にはあるのだ、という話なのです。

『いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン』(大塚雄介著)


 ↑ここに詳しく書いてあります。

 簡単に言えば、仮想通貨の仕組み(ブロックチェーン技術)の持つ特徴として、これまで発行したものをチャラにする、といったことはできないんです。

 現物の通貨なら新通貨を発行し、旧通貨を回収すればいい(それだって大変ですけど)。

 仮想通貨は、問題が発生しても、過去のブロックチェーンを消去することができない。そこで、そっちは残しておき(イーサリアム・クラシック)、新しいブロックチェーンをスタートさせる(イーサリアム)というわけです。

 だからハードフォークをすると、新通貨と旧通貨がどちらも存在し続け、別々の価値を持つのです。

 これがビットコインでも起きるかもしれない。

 そんな話が出てきて、一時的に大騒ぎをしたものの「もっとソフトなやり方でいいのではないか」という話もあり……。

何一つ、はっきりしたことはわかっていない

 とにかく、何一つ、はっきりしたことはわかっていないし、おそらくなにか発表があってもそれを理解できる人がそもそも少ないので、ウワサが先行してしまいがち。

 情報の格差は、とんでもない市場の攪乱にもなり得るわけで。

 市場で勝つにはこのとき正しい情報を知っている者だけということも事実ですけれども。誰が正しい情報を持っているのかもわからない。

 2017年5月25日に34万9000円を一瞬つけたビットコイン。その後、下がり続けております。といっても、26~29万円といった推移(2017/06/27)なので、まだ高いと言えば高いレンジで推移はしていますけども。

 ビットコインが下がると他の仮想通貨も下がるのです。逆は真ではなくて、ビットコインが上昇しないときに、他の仮想通貨が爆上げすることはあります。それなのに、下がるときはみんな一緒。

 私自身はほんの試しの勉強のための投資しかしていませんが、わずかな利益のみ残し、元本を待避させました。

 つまり円に換えて市場から引き上げました。

 入金はかなり簡単にできるので、待避するならちゃんと待避させたのです。
 これは2つの理由があるのです。

1、キャッシュが人を冷静にさせる

 市場にお金を残しておくと、それは喩えは悪いですが、ルーレットのテーブルでチップを手元に置いたまま、賭けないでいるような状況になります。なにかちょっとした気分だとかひらめきだとかで「賭けてしまう」可能性がある。こうしたひらめきは、滅多にいいことはないので、チップで持たずにキャッシュに換えてしまうのが一番いいのです。
 人間は、キャッシュに弱い。キャッシュが手元にあれば、そんなバカなことに使うことは少ないのですが、チップだと麻痺してしまう。カジノには伝統的に、金銭感覚を麻痺させるための心理的なデザインが随所にちりばめられていますが、それに似た現象が、カジノとは並べてはいけない市場にもあるのです。
 そういう意味で、投資しないお金を現金で市場に置いておくことは、あまりオススメできません。

2、疑わしきは疑い尽くせ!

 仮想通貨の本を読んでも、私はまだ信用していません。金の先物取引のほうがよっぽど信用が高い。100対1ぐらいの差があると思います。歴史があるって重要なのです。だけど、先物市場も、かつてはヤバイ市場としか見られていなかった時期もありました。「小豆相場に手を出して」みたいな話ですよね。
 いまは、あんまりそういうことを言う人はいません。
 ですが、仮想通貨の市場は、出来たばかり。だからおもしろいのかもしれませんが、だから危ない。この状態のときは、すべてを疑ってかかるのが得策です。だって、わずかとはいえ、自分のお金ですからね。
 取引所から銀行に現金を出金しちゃいました。その理由は簡単で、「なにが起こるかわからないところには置いておけない」というだけのことです。
 取引所は、どこもしっかり運営されているでしょう。ですが、システムで動いているのです。人はほとんど介在していないはず。システムではなにが起きるかわからない。クラッシュしてしまうかもしれません。パニックが生じたとき、大量の出金依頼が殺到したら、どうなるかはみなさんもご存じの通りです。きっと、取引所はそれぐらいのことには動じない万全の対応をしているとは思います。だけど、歴史がないので信用は低い。
 私はいざというときに出金できなかったら、イヤなので、投資する気のないキャッシュは銀行に戻しました。手数料400円かかりましたが、それはすでに利益が出ているので、大した問題ではない。400円が惜しくて元本を凍結される恐れを無視するなんて、あり得ません。
 先にも書きましたが、入金はとても簡単なので、もし環境がよくなったら、いつでも銀行から取引所に戻せるのです。
「そんなこと言っているから、大儲けができないんだよ」と言われるでしょう。はい、大儲けはそもそも狙っていない。仮想通貨市場があって、その取引所ができたから、試しているのですから。
 それに私はギャンブラーじゃないので、大儲けの才能はないのです。

 これからこの仮想通貨に、なにが起きるのか? さっぱりわかりません。

シナリオは3つしかありません。

 1、現状の延長として、緩やかに需給に合わせて変動する
 2、クラッシュして、いったん終わる。
 3、需要が急増して高騰し、いっきに別次元に突入する

 楽しみですね。ノーポジションの私はどれが起きてもおもしろく見ていられます。といっても利益のいくばくかを市場に残していまして、それがどうなるかはちゃんとウォッチしたいと思いますけども。

リスクを取らなければ利益なし?

 余談……

 ハイリスク・ハイリターンといった言葉がもてはやされた時期がありました。

 これを「虎穴に入らずんば虎児を得ず」みたいな意味で使う人もいます。つまり「儲けたければリスクを負え」というのです。

 恐ろしいことに、ハイリスク・ノーリターンもあるのですから、リスクを取ればいいというものではありません。サッカーや野球のように限られた中でルールに則って戦うならともかく、経済にはそんな厳密な意味でのルールも平等もありませんから。

 リスクを取る人(リスクテイカー)がいなければ、いまの経済は停滞するばかりです。その意味で、リスクテイカーがもっとも大きな利益を得てもいいかもしれません。気持ちとしては、ですね。

 リスクテイカーというのは、相対的なものだと思います。資産が1兆円ある人にとっては、1000万円程度のリスクは大したものではないでしょう。年収300万円の人にとっては、1000万円の借り入れをすることはかなりのリスクになるでしょう。
 市場に参加している人(またはロボット)は、それぞれにリスク許容度が違うのです。だから市場は成立しています。
 私たちは、ついついそのことを忘れてしまう。

 自分がどこまでリスクを負えるかを意識していないで行動することは、現実社会ではかなり危険なので大多数の人はしません。

 カジノと1個人の戦いも同様です。そもそも相手は巨大な組織、プロ集団です。1個人で勝てる相手ではない。だけど、カジノ演出はあたかも「誰もが平等にチャンスがある」と見せかける。最初から負けているのに!

 そう思えば、カジノで大金を使う気が知れないでしょう。

 でも、キャッシュをチップに換えてしまった人は違います。チップを危険なところに賭けるスリルに酔うのです。立ち飲み酒場で割り勘するときに小銭まできっちり分けたがる人が、チップに換えてしまうと気前よく、勝ち目のわからない勝負にポンとそれを放り投げる。

 休むも相場、とはよく言ったもので、やり続けていることの弊害はとても多いと聞きます。ある銀行で外貨や債券のディーリングをしていた人の話を聞きましたが、「単年度で大儲けはあるけど、長年やって通算したら大赤字かもしれないですね。大儲けしたらやめますから」と言っていました。そして「自分のお金じゃないから、仕事だからできるんですよ」と言っていました。

 自分のお金でやる人は、慎重に行動して当然です。なにも恥じることはありません。
「逃げるのかよ」と言われたら、こう言えばいいのです。
「君とは、リスク許容度が違うんだよ」と。

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ますもと・てつろう

投稿者プロフィール

「かきっと!」の編集長です。記事もいろいろ書いています。
業界紙・誌(物流、金融経済、人事マネジメント)、ビジネス誌、ビジネス書など幅広く編集・執筆をしてきました。
ペットケアアドバイザー(愛玩動物管理飼養士二級、2005年度)
行政書士試験 合格(2009年度)

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