
日本では甲子園ボウルが終わり(関学ファイターズ対早大ビッグベアーズでファイターズ圧勝)、ライスボウルが終わり(富士通フロンティアーズ対関学ファイターズで、フロンティアーズ圧勝)、NFLもレギュラーシーズンが2018年12月31日に終了。地区優勝とワイルドカードが決まりました。NFLでは地区優勝チームとそれに継ぐ勝率上位のチームがワイルドカードとしてスーパーボウルへの挑戦権を得るわけですが、地区優勝をしてなおかつ勝率上位になればシードされるのでスケジュールがとても楽になります。ケガ人も戻れるチャンスがあります。だからワイルドカードに残るチーム、シードを得たいチームにとって最後の試合はとても重要となりますね。
なお、アメリカンフットボール、NFLについての用語などの解説は過去記事のこちらをどうぞ。
目次
ワイルドカード
今季、私がいつも注目しているスティーラーズは、昨年最高のパフォーマンスを見せたRBベルを失い(契約でもめて出場せず)、いつも下位に沈んでいるブラウンズと引き分けるといった不安な前半からなんとか踏ん張ってきました。ところが、Week16のセインツ戦で負けてしまったのです。この試合、パスインターフェアランスの判断がめちゃくちゃ厳しく、スティーラーズの守備はことごとくイエローをくらい、他の試合と比べてもとんでもなく異常なほど厳しかった(とファンは思うよね)こともあって惜敗してしまったのです。AFC北のライバルチーム、レイヴンズは、シーズン中にQBが変わりました。Week9のスティーラーズ戦でこれまでの先発QBフラッコが負傷。このあとをルーキーのジャクソンが引き継ぎます。これが大当たり。レイヴンズがじわじわと勝率を上げていきついに追いついてしまったわけです。最終戦、スティーラーズは勝利したとしても、レイヴンズが勝てばレイヴンズの地区優勝。さらに9勝6敗1分のスティーラーズはコルツとタイタンズの試合などにも左右されるギリギリのところに追い込まれ、コルツが10勝目をあげてシーズン終了となったのでした。
一方、NFCでは、シーホークスとイーグルス(前回チャンピオン!)が苦しんでいました。シーホークスは同地区に絶好調のラムズがいたために地区優勝が遠くなっていました。同地区なのでホームアウェイで2回の対戦がありましたが、どちらも僅差で負けています。Week5は33-31、Week10では36-31。どっちも落としたのは痛かったですね。ですが、このWeek10の敗戦から怒濤の勢いを見せるのです。怒濤といっても僅差の試合をものにしていく。途中まさかの49ersに負けたのはどうかと思いますが、3点差試合3、1TD差試合2となかなかの勝負強さを見せました。そして地区優勝は好調ラムズに。なんと13勝とみごとな結果。シーホークスはワイルドカードにすべり込みました。
イーグルスはQBがころころ変わるシーズンでした。最初の2試合をフォールズで、バックアップQBからスーパーボウルMVPとなったのにWeek3からは、それ以前のスターターであるウェンツが復帰。悪くはないのですが、肝心の同地区ライバルのカウボーイズに2回とも負けるなど苦しみました。最後の3週間はまたフォールズに戻って3連勝し、なんとかワイルドカードを獲得しました。ところがこのフォールズがまた負傷したみたいで、ワイルドカードはどうなるんだ、という気がしますね。
こうしてワイルドカードは、次のような日程と対戦になりました。
日本時間1月6日 午前6時35分~コルツ@テキサンズ 午前10時15分~シーホークス@カウボーイズ
日本時間1月7日 午前3時5分~チャージャーズ@レイヴンズ 午前6時40分~イーグルス@ベアーズ
ワイルドカードはどうなる?
コルツ@テキサンズ
すばらしいディフェンスとランニングゲームを武器とするテキサンズ。パスオフェンスとディフェンスで対抗するコルツ。もしディフェンス合戦になったときには、僅差の試合になっていく可能性があります。一方、コルツがバスオフェンス好調なら点差が開く可能性もあります。予想がつけにくい試合です。
シーホークス@カウボーイズ
よくも悪くもシーホークスQBウィルソンしだいになりそうな試合です。カウボーイズはQBプレスコット、RBエリオット、WRクーパーという黄金のトリオが活躍すれば勝利できるでしょう。このオフェンスをシーホークス守備は止められないでしょう。ですが、ウィルソンはプレスコットと同じぐらいのパスとエリオット的な走りが可能なので、もしお互いの守備が活躍するようなゲーム展開となって僅差になった場合にシーホークスには勝機があるはず。カウボーイズはときどき信じられないミスをするのでもしそれが出たらさらに最悪の結果になります。ですが数字からすればカウボーイズが勝つ試合と言えます。
チャージャーズ@レイヴンズ
ベタランで今季は満足いく結果を出したチャージャーズのQBリバース。今季彗星のように現れてチームを地区優勝に導いたレイブンズQBジャクソン。ジャクソンにとってはホームで試合ができることはとても有利です。ただしリバースはベテランでロードの試合でもなんともなく勝ちますのでアドバンテージはそれほどないかもしれません。ただチームとして安定して力を発揮すれば勝てるはずのチャージャーズに比べて、いままさに進化しつつあるレイヴンズの未知の部分がどう大舞台で発揮されるか注目です。楽しい試合になりそうです。
イーグルス@ベアーズ
ベアーズの守備が試合の流れを決める可能性が高いでしょう。ベアーズはQBトリビスキーの正確なパスも魅力ですが、その点ではイーグルスも同様。誰がQBとして先発してもこのシステムは同じように発揮されるはず。そこで地力としての守備に注目して試合を見たいところです。もしベアーズ守備がうまく機能すればイーグルスといえども簡単に点は取れないでしょう。当然ながらベアーズ守備が崩壊したらイーグルスの圧勝となってしまう可能性があります。満身創痍とはいえ大舞台に強いイーグルスがどんなゲームプランを持ってくるのかとても興味深いですね。
シーズンを振り返る
AFC東地区
1強3弱なイメージのあるこの地区。ペイトリオッツはやっぱり強かったですね。しかも今季、結果的にスケジュールは緩めでした。それでも11-5と5敗もしています。負けた相手はジャガーズ、タイタンズ、ドルフィンズ、スティーラーズ。同地区内で唯一負けた相手はドルフィンズでした。ドルフィンズは昨年も終盤でペイトリオッツに辛勝していて今回もまたやらかしています。ドルフィンズは開幕3連勝で今季はもしかすると、と思わせておきながら出来不出来の差が大きいチームとなってしまい、ワイルドカードも逃しました。ビルズ、ジェッツはなかなかシンドイ1年でした。ペイトリオッツはAFCの第2シードとなりました。
AFC北地区
レイブンズが最後に地区優勝にのし上がりました。スティーラーズは好不調の波にもまれ、勝ちパターンができそうでできないままシーズンが終わった感じ。一方レイヴンズは明らかにチームの力が徐々に形になっていった印象があります。新人QBラマー・ジャクソンはちょっとした救世主ですね。フレッシュなチームになった感じもありますけど、ケガ人は多くワイルドカードを勝ち上がるのは大変です。スティーラーズはそろそろチーム再建期でしょうか。QBロスリスバーガーはアグレッシブですけども、ミスも増えている印象。ディフェンスはかつてほどの威力を感じません。この地区で特筆すべきは万年最下位的なブラウンズの躍動です。ルーキーQBのベイカー・メイフィールドがWeek3から登場し、あれよあれよと上位を脅かすチームとなったのです。ただ地区での負けが目立つので、まだまだですね。来季に期待したいところです。そして最下位のベンガルズでも6勝していますから、いつの間にかAFC北地区はパワーバランスが大きく変わっている印象を受けました。
AFC南地区
すばらしいですね、テキサンズ。プレイオフでどこまで行けるか楽しみです。11勝5敗で地区優勝を決めました。この地区は、コルツも10勝してワイルドカードに入りましたので厳しい地区内争いをうかがわせます。終盤の4連勝(テキサンズ、カウボーイズ、ジャイアンツ、タイタンズ)もみごと。QBラックは7年目で安定してきたようです。タイタンズは惜しいシーズンでした。9勝したもののワイルドカードに届きませんでした。ジャガーズは守備のよさが目立ちましたね。チームの再建は守備からというのが鉄則なので来季、もしかすると、という期待は少し残してくれました。
AFC西地区
今季、チーフスとチャージャーズのデッドヒートはすさまじいものがありました。どちらも12勝。同地区内対戦の勝敗差でチーフスが地区優勝というハイレベルな戦いでした。チャージャーズはワイルドカードとはいえ目が離せないチームです。ブロンコス、レイダースともにちょっといい部分も見えたのですが、この上位チームとの戦いにかなり割りを食った感じです。チーフスはAFCの第1シードを獲得しました。そして今季、もっともNFL全体を楽しませてくれたに違いないのはチーフスのQBマホームズです。父親はMLBの選手(わずかな期間、横浜ベイスターズにいたこともある)。マホームズ自身野球歴が長い。その肩とセンス、機動力は魅力です。まだ経験の浅い面が出やすい(後述、NFC西地区を参照)ものの、ファンを熱くさせるプレーはすでにスターといってもいいでしょう。
NFC東地区
このところ熾烈というか10勝ラインぐらいを巡って地区内で激しく争うことの多かったこの地区ですが、今季は比較的早く上位が見えてきました。イーグルスのもたつき、ジャイアンツの低迷によるものですが、イーグルスはワイルドカードに残ったのに、レッドスキンズは残念でした。Week14にジャイアンツにボロ負けし、最終週はなんとイーグルスに完封負けです。ジャイアンツ、レッドスキンズとも再建が厳しそうですね。
NFC北地区
さて、ベアーズについて語らなければなりません。今季のベアーズを誰が予想できたでしょうか。12勝4敗。終盤の4連勝とみごとなシーズンでした。QBトゥルビスキーはINTも多くけしてすごい感じはないのですが、守備力もよく勝負強いチームとなっています。もっともベアーズの地区優勝は、バイキングス、パッカーズのもたつきの結果とも言えます。バイキングスはなかなかいいチームだと思うのですが、勝負に関していえばまだ途上な印象。パッカーズは完全に凋落しています。バイキングスは最後までワイルドカード争いに残りましたが、パッカーズは早々に今季を諦めました。6勝しているとはいえ、内容も全盛期に比べればまったく力が感じられず残念なシーズンでした。こちらもAFCの北地区に似て、最下位のライオンズも6勝しています。それだけの力はあるわけで、来季はどこが上位に行くか予想がつけにくい地区です。
NFC南地区
パッカーズのQBロジャースは14年目で今季は思うようにゲームを作れなかった印象があるのに対して、セインツのQBブリーズは18年目39歳でみごとなゲームを作り上げたシーズンでした。地区優勝はもちろん、シードでもNFC1位になったのですから。ロジャースは4442ヤードも投げて25TD。INTはたった2ながらもレーティングは97.57に留まったのですが、ブリーズは3992ヤード、32TD、5INTはあるもののレーティングは115.68。40点50点と貪欲とも言えるほど強力なオフェンスがセインツの魅力です。RBのマーク・イングラム、カマラというツインターボは今季も健在でしかもパスキャッチもできる。ペイトリオッツよりも破壊力は上ではないかと思います。ファルコンズ、パンサーズともに7勝までは到達できたものの、なにかが足りないフラストレーションの溜るシーズンでした。どちらもプレイオフに出て不思議ではないチームだけに。バッカニアーズはいかにも再建中なイメージです。
NFC西地区
13勝してNFCプレイオフの第2シードとなったラムズ。QBゴフってどうなの?という感じですが、今季は強いチームでした。スケジュールもきつめでした。それを象徴するのは、Week11のチーフス戦ではないでしょうか。AFCの1、2を争うチーフスとの激突です。
この試合は、スーパーボウルで再戦してほしいカードですし、かなりの確率であり得ると思います。最後の数分、QBマホームズはINTをくらってしまいチーフスは惜しくも負けてしまうのですが、ここでラムズの守備の良さも注目されているところです。
シーホークスは苦しいシーズンでしたが、最後にワイルドカードにすべり込めて報われました。攻守さらにサイドラインともにちぐはぐな場面の目立った今季です。ちょっと繊細なチームになってしまった印象があります。もう少し骨太になっていただければと期待します。49ers、カーディナルズはともにまったくふるわないシーズンとなってしまいました。
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