NFL 2017-2018 Super Bowl LII 第52回スーパーボウル(ミネアポリス・USバンク・スタジアム)

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第52回スーパーボウルはまたまた白熱の好ゲームに
日本時間2018年2月5日(月)。イーグルスatペイトリオッツ ミネアポリス・USバンク・スタジアムにて。 ご覧になりましたでしょうか? 素晴らしい白熱した試合をまたしても見ることができました。前回(第51回ペイトリオッツatファルコンズ、ヒューストンのNRGスタジアムにて)は延長戦にまでもつれこんだ好ゲームでした。そして今回は延長にこそならなかったものの、その1プレーごとに驚きの結果を見せつけられる、とても高度な試合だったと思います。一般的には守備のイーグルス、攻撃のペイトリオッツと見られていました。ですが、攻守ともにどちらのチームも死力を尽くして見応えがありました。ミスは少なく、試合を壊すような間抜けなターンオーバーや反則もなく、ガチンコの対決に息を飲みました。17週間にわたるレギュラーシーズン、そしてポストシーズンの集大成にふさわしい内容だったですよね! 私はアメリカンフットボールの凄さを十分に味わわせていただきました。
では、試合を振り返ります。といっても、私の場合は、数字から見るのですが……。
たった1度のパント
#8ジョーンズ(Donnie Jones)の名が歴史に刻まれることはないとは思いますが、今回の試合で、彼は1度だけ登場します。この試合、60分を通じてパントは1回しかなかったのです。そのたった1度のパントを蹴ったのが、イーグルスのジョーンズでした。ちょっと蹴っただけでスーパーボウルリングが貰えてラッキーでしたね。
いや、今回の試合の特徴として、両チームともにTFPを外す、FGを外すといったキッキングの「予想外」が起きました。NFLでは「TFPは入ってあたりまえ」「FGを選択するなら入るもの」という感じなのですが、ラグビーやサッカーも同様に、大きなプレッシャーのかかる部分でもあるのです。つまり、入るはずのキックが外れる。それだけの大一番でした。外せないプレッシャーがめちゃくちゃ大きかったのだと思います。
キッカーは孤独です。その時だけ出て来ます。彼にプレッシャーがかかるのは、試合全体がギリギリの鍔迫り合いをしていたからです。攻守ともに目立つミスがなく、試合を壊すようなボーンヘッドもない。激しい点の取り合いの中でキッカーの受ける重圧は想像以上のものでしょう。仕事とはいえ。
そしてパントではハプニングが起こりやすい。パントブロック、パントリターンTDなど。それにパントを蹴るということは攻撃が続かず相手にボールを渡さざるを得ない状況となったことを意味します。それが1回しかなかったというのは、NFLの試合でもなかなかないことです。ましてスーパーボウルでも。まさにスーパーな試合だったのです。
前代未聞のスペシャルプレーの応酬
得点経過を見てみましょう。
イーグルス | ペイトリオッツ | |
1Q | 9 | 3 |
2Q | 13 | 9 |
3Q | 7 | 14 |
4Q | 12 | 7 |
最終 | 41 | 33 |
ペイトリオッツとしては、前半にリードされても勝負には勝てる自信があったと思います。3Qは大きな勝負の転換点となりました。コイントスで後半のレシーブを選択していたペイトリオッツとしては、10点差は想定内だったはず。恐ろしいまでの勢いで迫るイーグルスのDLたちをブレイディはよくかわしていました。この試合、QBサックは1度しか成功していません。ペイトリオッツのOLは素晴らしいですし、ブレイディのテクニックもすごい。手が伸びる前に投げる。少し動く。ただ前半にスペシャルプレーを出したのはちょっと違和感がありました。私の個人的なジンクスですが、NFLでは先にスペシャルプレーをやった方が負けることが多い。スペシャルプレーは普段はやらないプレーコールです。プレッシャーを受けている側が窮余の一策として選択する。ですからまさかペイトリオッツがあそこでスペシャルプレーをするとは思いませんでした。2Qの残り13:11でした。冒頭に書いたこの試合唯一のパントのあとのペイトリオッツの攻撃。1d10でブランディン・クックス(Cooks)にロングパスを投げました。このとき守備と激しくぶつかり、クックスは脳震盪の疑いでゲームから離れます。3d5となってスペシャルプレーを出した理由はわからなくもありません。サックこそされていませんが、プレッシャーが強く、レシーバーもカバーされていて厳しい状態を打開したい。それにスペシャルプレーは追い込まれてからは成功率が低くなります。取り返しのきく時間帯に「ここで?」というところでやるべき。それもわかります。フリーフリッカー。RBにハンドオフ、RBがアメンドラにトス、アメンドラからブレイディにパス。これが惜しくも失敗します。ペイトリオッツは焦っているかもしれない、と私は感じましたし、きっとイーグルスも感じたに違いありません。
RBホワイトが走り込んでペイトリオッツもTD。前半残り2分4秒からのシリーズで、今度はイーグルスがスペシャルプレーをやり返しました。例によってコツコツとショートパスを投げるQBフォールズ。クレモントへの短いパスがラン・アフター・キャッチでロングゲインとなります。ただし時間は過ぎていく。FGかな、と思われました。その前に時間を使うだろう。でも残り38秒で4dになってしまった。蹴るしかない。少し時間が余る。それが怖いところですよね、ペイトリオッツが相手では。でもまさかのスペシャルプレー。しかもさっきペイトリオッツがやって失敗したのとほぼ同じ。フリーフリッカーからのQBへのパス。これをまんまと成功させたのです。エンドゾーン目前だったこともあるでしょうが、それにしても……。ペイトリオッツのスペシャルプレーとの違いは、QBがTEのうしろにシフトしRBがダイレクトスナップを受けること。ラインは全員が左にゾーンブロック。これはショートヤードを取るときの典型的なランニングプレーに見える。RBが切れ目を見つけて飛び込むはず。しかしRBはWRにトス。WRが左にブロックしたTEの後ろにいたQBにパス。凝ったプレーですが、1つ1つはよくあるプレーの積み重ね。さらにパスの距離は短くてよく(エンドゾーンですからね)、QBはTEのうしろにいたので、最短距離でレシーブ可能です。ペイトリオッツはオープンでやったこと、QBブレイディはQBのポジションからレシーブの位置まで走らなければならなかった。つまりタイミングが取りづらかった。一方、イーグルスのこのスペシャルプレーは滅多にやらないことはあったけど、リスクがとても少なく、スピーディーにできるように設計されていました。このとき、もしかするとイーグルスがこのまま行くかもしれないと感じた人もいたはずです。
ペイトリオッツも一瞬リードしたが……
ただし、ペイトリオッツは、ただ者ではなく、10点以上の差で前半負けていても終わってみたら勝っているといった試合をやり遂げる力があります。
だからこそ3Qは大事でした。ペイトリオッツは最初のシリーズで8プレー中5回グロンカオスキーに投げてTDを奪いました。このシリーズの迫力は凄まじいものでした。もしペイトリオッツが勝利していたら、MVPはグロンカオスキーだったかもしれません。アグレッシブに攻撃してモメンタムを引き寄せようとするペイトリオッツは、一瞬はこの試合でリードを奪います。誰もがチャンピオンシップのジャガーズ戦を思い浮かべます。「やっぱりペイトリオッツかな?」 ところが……。
このあとのイーグルスのオフェンスは見事としか言えません。キックオフ時のペナルティーで自陣15ヤードからはじめなくてはなりませんでした。でも、11プレー、4分57秒も使ってTDを取ったのです。RBアジャイも1度はいいランを見せましたが、この日はRBブラントが当たっていました。短い安全確実なパスとブラントのランを連続で繰り出す。いわば強いジャブを打ち続ける。それがクレモントへのロングパスにつながりました。このとき、QBフォールズはとても冷静に見えました。
ですから、4Qについにペイトリオッツがリードを奪っても、まったく慌てませんでした。最後までペイトリオッツはイーグルスを動揺させたりパニックに陥れることができませんでした。
ドアが開くまでノックし続けたイーグルス
今回、イーグルスの攻守ともに、すばらしかったのは、ドアが開くまでノックし続けるパワーとブレない気持ちでした。短いパス、中央のランといったごく当たり前のプレーをしっかりやる。守備もどうしてもブレイディには届かないけど、何度も何度もプレッシャーをかけ続ける。この2つのことを60分やり続けるためには、攻守ともにラインがしっかりとしていることが不可欠なのです。QBフォールズもQBブレイディも、ともに走るQBではありません。フォールズはオプションQBのイメージがあり、ブレイディは投げるスピードと正確さのイメージがあります。でも、ラインを突破すればQBを潰せるはずなのです。それが互角というか、どちらもしっかり守り抜く。最後の最後に、ブレイディはサックされますが、この試合ではこの1回だけ。試合時間残り2分9秒のときになってやっと成功しました。ですが、このサックは大きかったですよね。グイッと勝利をイーグルスは引き寄せました。
後半、ペイトリオッツは怒濤の攻撃を見せるはずが、徐々に時間を失っていきます。イーグルスはボールを持つと長いのです。タイム・オブ・ポジション(ボールを持っている時間)は、最終的にイーグルス35分4秒、ペイトリオッツ25分56秒でした。もっともスーパーボウルなどの大きな試合では、持っている時間が長いから優位だとは必ずしも言えません。ペイトリオッツのように1分あれば点を入れられるぐらいのチームを相手にする場合、3つのことを守らなければなりません。常に点差をつける。守備で点を取られない、そして相手のプレー回数を奪う。どれほどすぐれたチームでも攻撃回数が減ればチャンスも減るからです。またファンブルロストやINTリターンTDなど相手の守備が点を取るようなことがあると、ボールをいくらキープしていても勝てないのです。この点、イーグルスは、今回、紙一重で勝利をもぎ取ったと言えるでしょう。イーグルスの守備がペイトリオッツから点を取ることができれば圧勝でしたが、さすがにそこは難しい。だけど、505ヤードも投げて、29回もファーストダウンを取ったQBブレイディのいるペイトリオッツの攻撃力を、点差に結びつけないように踏みとどまったイーグルス守備は冷や汗ものではあったにせよ、がんばったことは確かです。ブレイディはINTもないし、サックも1度だけですし、ペイトリオッツはTOを奪いこそすれ、奪われてはいません。それでも負けてしまった。
結果的に「33点も取ったのに勝てないのか」といった印象もあり、上回る点を取ったイーグルスの攻撃力でねじ伏せた試合でもありました。ペイトリオッツをリズムに乗せないように、チーム全体で最大限の努力をしたことは事実でしょう。
早くも来季の心配
MVPはQBフォールズとなりました。バックアップQBからのMVP。まさに奇跡的な快挙です。
ただし、今季、イーグルスが地区優勝し、なおかつ第一シードを獲得できたのは、本来の先発QBウェンツの活躍によるものです。HCのペダーソンも「来季はウェンツでスーパーボウル」と言っているらしいのです。
スーパーボウルで勝利したチームを維持するのは、なかなか大変です。コーチ陣にも選手にも、さまざまな「いい話」がやってきます。NFLの選手寿命は短いので、チャンスがあればその話に乗るかもしれません。一方、結束力の高いポジションもあります。攻撃よりは守備、そしてどちらもラインの人たちはチームへの愛着が強い人が多いので、長く同じチームで活躍する傾向があるように思いますが、QB、RB、WR、TEなどは、けっこう流動的。この試合で活躍したイーグルスのRBブラントは前季はペイトリオッツにいました。2016年シーズンに1000ヤード走っていたのですが、イーグルスに移籍していたのです。こうしたことが、イーグルスにも起きるでしょう。
とくに、QBフォールズがどうするのか。急遽、スターターとなってから、イーグルスでは彼に合わせたプレーコールも取り入れてきました。すべてはチームのためです。が、QBとレシーバーは意思疎通などでも深い関係があるので、ウェンツと合わせてきた選手からすれば不満もないわけではなかったと思います。もしウェンツを復帰させなければ、チームがバラバラになっていく可能性もあるのですから、しばらくは注目をしたいところです。
そして、ペイトリオッツ。なんと、あの名物守備コーディネーターのマット・パトリシアはライオンズのHCに就任と発表されました。ライオンズは9勝したもののワイルドカードにも残れませんでした。プロボウルにはディフェンスからは選手が出ていますが、オフェンスはロースターに入ることはありませんでした。重要なのはオフェンスかと思いますが、どんなチームであれ再建で最初に着手すべきは守備というのが定説ですので、パトリシアがどんなチームにしていくのか注目です。
2002年、第36回スーパーボウルでラムズを破ってMVPを最年少で獲得したブレイディ。あれから16年間、NFLの中心で居続けたレジェンド。その時代が終わろうとしているのでしょうか。それとも、これは多くの試合の1つに過ぎず、来季はまた強豪として復活するのでしょうか(スーパーボウルで負けたということは2位というわけですから、弱くなったわけではないのですけども)。そしてベリチックらコーチ陣は……。
それではまた來シーズンをお楽しみに。
↓以下はスーパーボウル前に書いた記事です。
プレビュー 第39回の再戦 接戦を期待
日本時間2018年2月5日(月)に予定されている今季のスーパーボウル。場所はミネソタ州ミネアポリス・USバンク・スタジアム。かつて、東京ドームによく似た屋根のメトロドームがありましたけれども、雪で屋根が潰れたりして建て替え、2016年に完成した新しいスタジアムでの開催となります。
そして、対戦は、イーグルスatペイトリオッツ。
便宜上、ペイトリオッツのホームゲーム扱いになります。偶数回はAFCチャンピオンがホーム、奇数回はNFCチャンピオンがホーム扱いとなります。今回は52回(LII)なので偶数でAFCチャンピオンあるペイトリオッツがホーム。ただし、ペイトリオッツは、白のユニホームを選択すると宣言(ユニホームはホームチームが選択できるのです)。理由は「過去13回のスーパーボウル中、12回で白のユニフォームを着たチームが優勝」しているから。実に堂々としたものです。
なお、今回は、第39回スーパーボウル(Super Bowl XXXIX)の再戦となります。このとき、奇数回なのでイーグルスがホーム、ペイトリオッツはアウェイで白いユニホームでした。そして接戦に勝利しています。この試合はロースコアな展開でした。イーグルスはQBマクナブ。ペイトリオッツは前年もスーパーボウル勝利と「3年で2勝」をしているQBブレイディ。HCは、イーグルスはアンディー・リード(今季チーフスのHCですね)、ペイトリオッツはおなじみビル・ベリチック。詳細はハイライトをご覧ください。接戦でした。このときのMVPはWRブランチ。彼はこの時は1試合のレシーブ数11は記録タイでしたが、その後同じペイトリオッツのRBホワイトの14が最高となっています(2017年の第51回。対アトランタ戦)。
ご覧になるとわかるように、前半の守備の戦い、激しすぎるボールの奪い合いは今回もあり得る状況です。この試合のQBマクナブは、ペイトリオッツがDLを増やすなどしてまず走路を消され、プレッシャーを受け続け4サック、3INTと厳しい結果となりました。今季のAFC決勝のペイトリオッツ(対ジャガーズ戦)でも、前半にリードされながらも後半に修正するなど、対応力の高さは伝統と言ってもいいものですね、こうなると。
イーグルスのどこに注目しているか?
しかし、今季のイーグルスは前とは違います。まあ、ペイトリオッツが強いと言うのはもう耳にタコでしょうから、イーグルス中心に考えてみましょう。
QBフォールズとしては人生最大、最高のチャンスであると同時に崖っぷちで手に入れたラストチャンスでもあります。ケガで今季絶望となったQBウェンツの代役であることは事実。この流れはスーパーボウルで勝利したとしても変わらないかもしれません。ただ、この試合での活躍によっては来季がまるで変わる可能性があります。その気持ちが空回りせず、しっかり発揮できたときには奇跡の1つぐらい起きてもいいのではないかと思います。
HCのダグ・ペダーソンは2016年にイーグルスのHCに就任しました。彼は、チーフスのオフェンスコーディネーターとして、RBジャマール・チャールズ、QBアレックス・スミスを起用して2勝しかできなかったチーフスを翌年11勝させた立役者としても知られています。選手としては12年間QBとしてパッカーズ、ドルフィンズ、イーグルス、ブラウンズにいました。控えQBとしてブレッド・ファーブの大活躍していた頃のパッカーズを知っているのです。つまり、ドン・シューラやホルムグレン、そしてリードという伝説的HCとやってきた経験があります。マイケル・ヴィックがQBをしていた頃にイーグルスでもQBコーチでいたとか。47歳で、しっかり経験を積んでいます。今回スーパーボウルに出場できたこと(しかもシーズン終盤にQBが変わったにもかかわらず)は、彼にとって輝かしい勲章となっていることでしょう。さらに無敵とも言えるペイトリオッツを倒すことができれば、いっきに「新時代到来」となり得るわけです。
イーグルスのオフェンスとディフェンス
イーグルスのオフェンスコーディネーターは、フランク・ライヒ(Frank Reich)。日本語表記は「ラーク」や「ライク」などもあります。ビルズなどでバックアップQB的な存在でした。ビルズは90年代に4年連続でスーパーボウルに出たほどのチームでした。ただし4連敗なので不名誉な扱いですけども。1993年の第27回スーパーボウル(Super Bowl XXVII)はカウボーイズと戦いましたが、ライヒは当時のQBジム・ケリーが負傷(カウボーイズのケン・ノートン・ジュニアにサックされたのです)。そのあとを受けてパスは18/31、194ヤード、1TD、2INT、レーティング60.4でした。いいというほどでもなく。試合を作ることのできるQBではなかったようです。ただこうした豊富な経験はコーチやコーディネーターになって活かされています。先発QBウェンツがWEEK14のラムズ戦で負傷したあと、フォールズを起用してこの試合を含め4-1でレギュラーシーズンを追え、プレイオフはファルコンズ、バイキングスに勝利したのです。とくにバイキングス戦ではフォールズは26/33、352ヤード、3TD、そして0INTとすばらしい成績を上げました。
もっともイーグルスの強みはランですし、QBを守りRBの走路を切り開くオフェンスラインにあります。イーグルスの所属するNFC東地区は、カウボーイズ、ジャイアンツ、レッドスキンズと伝統的に攻守ともにラインを強化する傾向が高く、以前にペイトリオッツをスーパーボウルで2回とも破ったジャイアンツはその典型。小柄で兄ほどゲーム作りでは非力のイーライ・マニングをラインはよく守りましたしランも出していました。現在、イーグルスのオフェンスラインのコーチは、Jeff Stoutland。名門アラバマ大学のコーチから2013年にイーグルスへ。アラバマ大学といえば、2014年からカレッジフットボール・プレーオフとなっている現制度の前にあった、BCSナショナル・チャンピオンシップ・ゲーム(BCS National Championship Game)で、2011年、2012年と連勝しています(相手はLSU、ノートルダム)。そのときのコーチ陣の1人だそうです(このときのHCはNick Saban)。
そして期待のディフェンス・コーディネーターのジム・シュワルツ(Jim Schwartz)は10年間、タイタンズでジェフ・フィッシャーの下でディフェンス・コーディネーターをしていたことも。ユニークな経歴で大学時代はLBだったようですが、その後ブラウンズのスカウトマンに。このときのブラウンズのHCがビル・ベリチェックだったそうです。1993年から1995年までベリチェックと仕事をしていたわけです。こちらの記事が詳しいですね。「Bill Belichick: ‘I can’t say enough’ about Jim Schwartz」(リンク切れ)。まあ褒めていますね。しかしそこからジェフ・フィッシャーの下で働く道へ進むのです。ベリチェックはビル・パーセルズHCにペイトリオッツに呼ばれ(ジャイアンツ時代にパーセルズHCの下でやっていたのです)、ディフェンスコーディネーターになり、今日へと至ります(途中ジェッツのHCにもなっていますが)。
シュワルツのような道筋でコーディネーターになっていくってキャリアは、日本的な感覚ではなかなか考えづらいでしょう。NFLではNFLでの選手経験のないコーチやコーディネーターは珍しくないのです。
こうしたいわば一騎当千のコーチ陣が、大舞台になにを見せてくれるのか。ペイトリオッツは胸を借りる相手としては最高の存在です。15年も続いているペイトリオッツの全盛期に、どう立ち向かうのでしょうか。そこが最大の楽しみです。少なくともイーグルスはバイキングスには完璧に対応しました。潜在能力はまだあるのではないかと期待しています。
ただし、ペイトリオッツは白のユニホームのほか、QBブレイディの手のケガもしっかり回復し調子はいいようですし、途中退場したグロンカオスキーも練習に復帰しているなど明るい話題が多く、イーグルスはRBアジャイの足首に不安があるといった記事(フェイクかもしれませんが)もあるようです。
さて、どうなることでしょう。その結果はここに追記します。
NFL、アメリカンフットボール、そしてこの記事についての用語・略語はこちらをご参照ください。
参考 オードリーのNFL倶楽部 若林のアメフト熱視線
久々にNFL関連の楽しい本が出ました! お馴染みの番組「NFL倶楽部」で、妙に細かい解説をしてくれるオードリー若林さんの「熱視線」が本になったのです。豊富な写真で、ともすればわかりにくくなるプレーを解説してくれています。RB経験のある若林さんだけにオフェンス関係の解説が多いようですが、とくに地味なラインの選手の動きなどにも熱い視線を送ってくれています。そしてなんといっても楽しいのが見出し。これは番組中、コーナーの終わりにフリップで強調する格言のようなものがそのまま採用されていること。「ドロープレーのQBとキャバ嬢の演技には騙されるな!!」とか「一流のQBとさんまさんは、目があった瞬間にパスが来る」などなど。
スーパーボウルの観戦のときに役立つに違いない話が満載です。
参考 アメリカンフットボール 最強の戦術論 ~試合運びから観戦のコツまで徹底図解~ (コツがわかる本!)
こちらはかなり本格的な本です。今季もJAPAN X BOWL、ライスボウルと強さを見せつけた富士通フロンティアーズですが、そのHC藤田 智さんが書いた本です。ルールとポジション、そしてオフェンス、ディフェンスの戦術を解説してくれているので、アメリカンフットボールの全体像を把握するには最適の本ではないかと思います。
参考 映画「コンカッション」 NFLとスポーツ障害にメスを入れる
映画です。NFLをテーマにしていますが、シリアスな内容です。NFLでは現在、脳震盪をはじめ、頭部への強い衝撃(ヘルメット・トウ・ヘルメット)に厳しく対応をしています。試合中に頭部にヘルメットでぶつかっていったら反則になりますし、脳震盪の可能性がある選手はすぐに検査をし、診断結果によってその試合への復帰はもちろんしばらく試合を休むことも義務付けられています。ですが、こうなるまでには、NFL側の大きな抵抗もあったのです。お馴染みのウィル・スミスがNFLに改善を迫る医師を熱演しています。なお、「コンカッション(Concussion)」とは、震盪、激震といった意味です。concussion of brain で脳震盪となります。つまり、NFLに走った激震と症状としての脳震盪をかけたタイトルなのですね。
参考 NFL 第51回 スーパーボウル オフィシャル プログラム
スーパーボウルのパンフレットは人気のあるアイテムのひとつです。ただしすべて英語なのでご注意ください。スーパーボウルに出場する2チームの詳しい紹介はもちろん、スーパーボウルで繰り広げられるショーの案内、巻末には今季の各週のゲーム内容、そしてレジェンドを含めNFLにまつわるさまざまな記事がすばらしい写真とともに掲載されています。
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