NFL 2018-2019 第53回スーパーボウル Super Bowl LIII

 ついに21018年シーズン(2018-2019)も終わりを迎えました。第53回スーパーボウル、Super Bowl LIIIを中心にまとめています。
 なお、アメリカンフットボール、NFLについての用語などの解説は過去記事のこちらをどうぞ。スーパーボウル以前のレポートはこちらへ。

第53回スーパーボウル Super Bowl LIII

【結果】ペイトリオッツ 13-3 ラムズ
 前半を終わって3-0。後半3Qに入って3-3。異常なほどのロースコアゲーム。あのペイトリオッツがTDできない。そしてあのラムズもまたTDできない。いったいどうなってしまったのか。予想以上に両者が相手の攻撃ポイントを打ち消し合うディフェンスマッチになったのです。4Q、ようやくペイトリオッツがTD。それでもわずか1TD差です。ラムズは勝つか負けるか。賭けるしかなく、その賭けに負けてペイトリオッツはまんまとFGを追加。13-3で勝負ありです。ラムズはうまくすればTDを最後に取れたかもしれませんが負けは負け。
 以前に書いた勝利のポイントをお互いに潰し合う激しい守備。ラムズはガーリーも走れず、アンダーソンはさらに走れず。QBゴフはスクランブル以外では走りませんでした。つまりランゲームをことごとく潰されてしまったので、得意技のプレイアクションパスが滅多に決まらない。すさまじいのはペイトリオッツの守備。4サック、1INTとみごとに守りました。
 

 まるでペイトリオッツのホームゲーム

 この試合で最大の誤算は、これがまるでペイトリオッツのホームゲームのような雰囲気だったことです。ペイトリオッツファンで埋まっていたのです。ラムズの登場にはブーイング。ラムズのオフェンスにはクラウドノイズ。スーパーボウルはたいがい両チームとはあまり関係ないスタジアムでやるので中立になりがちです。それが完全アウェイとわかったときのラムズの驚きはきっと大きかったに違いありません。その動揺が最後まで続いたような印象もあります。
 
 ラムズはオフェンスラインがうまく機能できないときがあって、走路を開けない、QBを守れないといった厳しい状況に陥ってしまったのです。
 このようなとき、ペイトリオッツは30点以上取れるはずなのですが、ラムズ守備もがんばりました。サック1だけですが、INTも奪いましたし、ランもなかなかうまく行かない状況を長く続けていました。
 

 なぜ守備からMVPが出なかったのか?

 今回のような試合はNFLでも珍しい。13点はスーパーボウルでは最小得点による勝利です。両チームでTD1つというのも最小。両チームの合計点16点も最小。
 MVPが誰になるのかと思ったら、なんとエデルマン。確かにペイトリオッツの活路を開いたのはエデルマンでしたからね。ただ、彼は直接TDに絡んでいません。こういうMVPも珍しいです。むしろ、ペイトリオッツの守備がMVPにならなかった点に注目するべきかもしれません。つまり、ペイトリオッツの守備によってラムズは3点に抑えられたのだとする考えよりも、むしろラムズのもたつきによって自滅したのだ、と見る人もいることを推測させます。過去、たとえば第20回(1986年)はペイトリオッツを10-46で破ったベアーズのDEデントがMVPとなりました。ですが彼の功績というよりベアーズの守備選手の功績というべきでしょう。7サック、4ファンブルリカバーをあげますが、デント自身は1.5サック、2ファンブルリカバーでした。
 守備から1人だけ選ぶことはなかなか難しいのが現状でしょう。ちなみに12回(1978年)はカウボーイズからDEハーベイ・マーティン、DTランディ・ホワイト の2人がMVPになっています。
 
 今回、このようなはっきりと試合の行方を決めるほどの守備選手がいたかどうかというよりも、ラムズの攻撃チームに点を取れる雰囲気があまりなかったことは特筆すべき事態でした。
 

 ラムズの敗因を象徴する2Q残り6分14秒

 2Q残り6分14秒。ラムズは自陣45ヤードからはじまる(ペイトリオッツの反則などもあって)チャンス。この時、ガーリーで5ヤード、3ヤードと進みましたが、3dでパスを投げようとしたゴフは左からの圧力から右に逃げたものの、まっすぐ突っ込んで来た#53カイル・バンノイに強烈なサックを浴びました。14ヤードも下がってしまったのです。このときのプレーはこの試合の象徴的なシーンと言えます。QBゴフは時間があったのに投げられなかったし、レシーバーはフリーになるスキームをこなせていなかったのです。今回のラムズの敗因はまさにここに尽きます。
 最後まで1TDを争う展開になったのですから、4Qにこの試合を決めるパスを投げる可能性をラムズは持っていました。でも、このときのままにペイトリオッツ守備は最後まで崩れず、ムリして投げてもパス不成功に終わってしまうのでした。私の記憶では、ゴフは2回、エンドゾーンに駆け込んだ選手にパスを投げましたが、きっちりカバーされていてどちらも、大してチャンスはありませんでした。
 

 ペイトリオッツの凱旋

 ペイトリオッツの強さは、マークを外してフリーになるのがおそろしくうまいエデルマンの存在と、おそらくハイライトでは何度も流されるであろう4Qの唯一のTDシーンに集約されるでしょう。4Qに入って、4分58秒も使ったラムズの攻撃がパントに終わると、その徒労感を突くようにペイトリオッツはさらにギアを一段上げました。6速しかないと思われたギアにもう1つあった、みたいな印象でした。ラムズ守備もさすがに疲れてきたのでしょうが、自陣31ヤードと好位置からはじめたペイトリオッツはまさに王者のオフェンスを見せつけました。グロンカオスキーに18ヤードのパスが通り、エデルマンに13ヤードのパスが通る。連続で一発1dですからラムズ守備は焦ります。そこに、RBバークヘッドに7ヤードのパス。3連続パスです。このあたりはさすがですよね。決め方がすごすぎる。あえてランは使わない。じゃんけんで連続パーを出し続けるような感じ。グロンカオスキーに29ヤードの決定的なパスが通るのはこの直後です。G前に倒れ込みました。ノーミス、反則もなし。ラムズ守備がほんのわずかズレているというか遅れている印象。そして、RBミシェルが飛び込んでTD。このとき、ペイトリオッツのオフェンスラインたちは、まるで城門を突破するように、きれいに穴を開けてみせたのでした。
 みごとにペイトリオッツの凱旋というわけです。この時点でほぼ試合は決まりました。
 

 マクベイはなにを考えていたのだろう?

 時間はまだたっぷりありましたが、今日のラムズにTDできる雰囲気はまるで感じられません。その点では若いゴフはリーダーシップでもまだまだということもあったでしょう。それよりも気になったのは、奇策を繰り出すこともなくコンサバな攻撃を繰り返した若いHCマクベイです。まさかとは思いますが、大舞台で恥をかきたくないとでも思ったのでしょうか。それとも、ラムズは奇策なしでペイトリオッツに勝てると信じていたのでしょうか。まったくもって不可解です。このあとの7分間を見ると疑問ばかりが浮かぶラムズでした。ムリをすべきところとしないところの掛け違いとでもいうのでしょうか。萎縮していたとはいいませんが、会場の強烈なアウェイ感にプランが狂っていった可能性はあるでしょう。
 私のメモでは、このスーパーボウルは最後のニールダウンまで25シリーズあって、だいたい12-13のオフェンスシリーズが両チームにあったわけです。点をオフェンスで取るには10回ぐらいしかチャンスはなかったのですが、それをプランどおりにやりきれたのでしょうか。
 一方、ペイトリオッツは、「必ずキャッチできるはず」なエデルマンとグロンカオスキーにしっかりブレイディはパスを通して勝利をたぐり寄せました。ラムズはWRクックスの8キャッチ120ヤードが目立ちましたが、肝心なところでキャッチできなかったシーンも印象的でした。
 試合全体としては、ペイトリオッツもラムズも3dコンバージョン率が低く(ペイトリオッツは12回中3回、ラムズは13回中3回)、それがこの試合をやや「つまらない」印象につなげていると感じました。先に書いたように、ペイトリオッツはTDシリーズを一発1dの連続で獲得している一方、ラムズは3dで失敗してパントするイメージが強く残りました。5分を超えるオフェンスシリーズは、冒頭の3シリーズ目、ペイトリオッツがFGを失敗して終わりますが、これだけでした。
 
 残念ながらすばらしく盛り上がったチャンピオンシップの2試合に比べると、スーパーボウルはゲーム内容はシブすぎたなあ、と思います。
 
 さて、来シーズン、ペイトリオッツはどうなるのでしょう。ブレイディは? グロンカオスキーは? ラムズも若手が多いとはいえ今回の敗戦によって大きな変化も予測されます。
 
 

マクファーレントイズ NFL18 トム・ブレディ/ニューイングランド・ペイトリオッツ

(ニューエラ) NEW ERA NEW ENGLAND PATRIOTS 【D-FRAME TRUCKER MESH CAP/NAVY】 ニューイングランド ペイトリオッツ

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スーパーボウル事前記事

【事前】ラムズとペイトリオッツのスーパーボウルとなりました。日本時間2月4日(月)。BSNHKは午前8時から生中継予定です。
 ラムズは、「ONE HOUSE.ONE DREAM.」を掲げてプレイオフに臨みました。直訳すれば「ひとつの家。ひとつの夢」ですね。One for all, All for on.みたいな意味でしょうか。そしてこのHOUSEは、新しいラムズの本拠地の意味でもあります。ご存じのように、1936年にクリーブランドで誕生したラムズですが、10年後にはロサンゼルス・メモリアル・コロシアムへ移転。懐かしい映画「天国から来たチャンピオン」(1979年)では、主人公はラムズのQB。当時はコロシアムでした。ロケもしています。その後、1980年にアナハイムへ。いま野球の大谷選手が所属するエンゼルスと同じ球場だったのです。1995年からはセントルイスへ移転。QBカート・ワーナーなどの活躍でスーパーボウルを制します。2016年には再びロサンゼルスに。いまはコロシアムを本拠地としていますが、2020年シーズン以降、ロサンゼルス・スタジアム・アット・ハリウッドパーク(建設中)に移る予定です。ひとつの家、という気持ちはなんとなく感じますよね。転勤ばっかりの家族みたいな。やっと落ち着けるかもしれない。そのためには勝利が必要です。またとないチャンスがいまやってきたのです。
 ペイトリオッツは、「EVERYTHING WE GOT」を掲げてプレイオフに臨みました。直訳すれば「私たちが得たすべてのもの」ですね。動画などによると、プレイオフのすべてを得るには、すべてを取りに行かなければならない、そしてそのために自分たちはすべてを投げ打つのだ、といった意味があるようです。つまり自分たちはすべてを出し切ることですべてを得るのだという意気込みですね。なんだか深いです。いまさらペイトリオッツを語ることもないでしょうが、スーパーボウルに10回も出ています。1986年(第20回)、1997年(第31回)、2002年(第36回)、2004年(第38回)、2005年(第39回)、2008年(第42回)、2012年(第46回)、2015年(第49回)。2017年(第51回)。2018年(第52回)。ここで表記した年はシーズンの年ではなくスーパーボウルがおこなわれた年です(私が2018-2019なんて表記をするのもこのため)。
 このうち5回勝利しています(2002年、2004年、2005年、2015年、2017年)。全勝しているようなイメージがありますけども。イーブンなのです。まだまだおれたちにはやり残したことがあるぜ、的な意味がEVERYTHING WE GOTにはこめられているのかもしれません。11回目で勝利すれば勝ち越しです。また、2002年からQBはトム・ブレイディーです。つまりブレイディーのスーパーボウルとしては、8回出て5勝ですから勝ち越していますけどね。
 ブレイディが初勝利したスーパーボウルはラムズが相手でした。HCビル・ベリチックは2000年就任ですから、2年目。QBドリュー・ブレッドソーでいまいち線が細い。今年もなあ、というときにWeek2でブレッドソーが負傷。ブレイディーが代役で出て勝ち始めると、ブレッドソーはケガが治ってもスターターに戻ることはありませんでした。そのままスーパーボウルへ駆け上がって、当時最強と見られていたラムズと対戦したのです。そして勝利し最年少MVPとなったのでした。といっても前半はペイトリオッツの守備が光っていました。後半も守備の戦いとなって17-17で残り2分を切ってペイトリオッツのオフェンス。これがすばらしく冷静なブレイディーが一躍スターとなったのです。FGをヴィナティエリが決めて勝利しました。チーム力で勝つ展開ですね。これはペイトリオッツの基本で、現在も続いているスタンスです。
 この強いペイトリオッツにラムズは勝てるでしょうか。対ラムズではじまったペイトリオッツの黄金期を、ラムズが止めるでしょうか? いろいろな話が飛び交っています。

ラムズ勝利のポイント

 ・直前まで負傷者はいない模様。心配なのはRBガーリー。ランだけではなくレシーバーとしても重要な存在ですが、レギュラーシーズンのWeek15からほとんど出ていません。チャンピオンシップで4回10ヤード1TDしたものの、万全ではない印象を残しています。ラムズはランオフェンスを出すことでプレイアクションパスを決めるスタイルですから、ランが止められたらパスも出なくなる可能性があります。ラムズのランオフェンスがどうなるのか。ガーリーは万全なのか。もしガーリーが万全でない場合の代替案はあるのか。
 ・ラムズ守備#99アーロン・ドナルド。今季ディフェンス・オブ・ジ・イヤーに輝いた選手。彼が強力で俊敏なペイトリオッツのオフェンスラインにどう切り込むか。ラムズのラン攻撃を決めるインテリアラインメン(オフェンスライン)がラムズ勝利のカギとなると同時に、守備のラインメンたちがどうペイトリオッツそしてブレイディを苦しめるかはとても重要な要素です。ドナルドは今季41タックル、20.5サックをあげています。ブレイディは、チャージャーズやチーフスといった強力な守備チームからもほぼ守られていました。今回、プレイディもゴフも動き回るQBではありません。ゴフは多少は走りますけど。ブレイディに時間を与えればパスが通るわけで、それをさせない守備は可能でしょうか?
 ・ペイトリオッツは、Week15でスティーラーズに負けています。際どい試合を取りこぼしたのです。意外にもランに対する守備に脆さが出ていました。オフェンスラインが強いとき、ペイトリオッツはうまく対応できないことがあるのです。ブレイディもさすがにサックされるとパスの勢いも止まります。プレイオフではチャージャーズ、チーフスともに、ブレイディをサックできませんでした。ラムズはランオフェンスで点と時間を稼ぎ、さらに守備でプレッシャーを掛け続けることになるでしょう。そしてペイトリオッツとしては前回スーパーボウルではイーグルスに完敗しているのです。それに奮起しての今季でしょうが、かえって意識しすぎて歯車が狂うこともあり得るのでは? ラムズはそこをジワッと攻めることになるでしょう。相手の嫌がることをやることは、どんなスポーツでも重要な戦術です。

ペイトリオッツ勝利のポイント

 ・ラムズQBゴフは、短いパスも長いパスもとてもクイックで鋭く投げます。これにペイトリオッツ守備はどう対応するでしょうか。とくにプレイアクションパスはみごとです。敵の裏をかくロングパスで何度もチャンスを広げてきたラムズですから。ゴフに逃げられないように激しくラッシュすると、スクリーンでロングゲインとなりやすいのでどう対応するか。
 ・Week14のラムズはベアーズ戦でゴフはプレッシャーを受け続け4INT、1セーフティを奪われました。ゴフはプレッシャーに弱いのです。ラムズ守備もがんばって3INT奪うなど活躍したのですが、勝てませんでした。翌Week15ではラムズはイーグルスと戦ってやはりINTをくらって負けています。またイーグルスにけっこう走られていましたね。13勝したラムズですが、セインツ、ベアーズ、イーグルスに負けていて、比較的スケジュールは楽だった印象なのです。ペイトリオッツのハードなタックルが炸裂することで、ラムズは攻撃チャンスを奪われるでしょう。
 ・アグレッシブな選手が多いペイトリオッツですが、たとえばエデルマンの落球や不用意な反則が生じる可能性もあります。接戦になったときにミスをしないチームとしても知られているわけですから、その冷静さを保つことが勝利のカギです。

さらに見所

 ・あまり表情をあらわさない老獪なHCベリチックと、アグレッシブで若々しく表情豊かなHCショーン・マクベイ(33歳です!)の対決。マクベイはレッドスキンズ時代にQBカズンズを育てたコーチとして注目されました。カズンズは鳴り物入りのQBであるRG3が負傷したあとチームを引っ張り続けました。そしてNFL史上最高年俸でバイキングスのQBとなっています。すでにたくさんのスターを育てたベリチック。いままさに自分の時代を築こうとするマクベイ。楽しみです。

チャンピオンシップ

 日本時間1月21日に開催予定のチャンピオンシップ。AFC、NFCのそれぞれチャンピオンを決める試合がおこなわれました。この勝者が2月4日のスーパーボウルで対戦します。

【結果】ラムズ 26-23 セインツ
 まさかの延長戦。そしてまさかのラムズ。
 1Qはセインツの時間。FG、INTからのFG、TDと一方的にセインツが点を入れていきます。結末を知っているなら、最初の2つのFGのうちどっちかTDしていればなあ、というのは言えますが、この時点ではすごくいい状態に見えました。ラムズは流れを変えるためにパントフェイク。それもしっかりとパントフォーメーションを取ってからのパスで、なかなかNFLでは決まるものではないのですが見事に裏をかいて成功。ただし、それでもTDは奪えずFGだったのです。
 2Q。私の事前予想ではここを制したチームが勝利するはず。するとラムズはセインツを抑え込み、前半終了間際にTDを奪いました。しかも81ヤードもドライブしてのTD。中でもコックスへの36ヤードのパスは見事でした。これで乗れるかラムズ。10-13。地元セインツのクラウドノイズの中で、いつものようなオフェンスのできないラムズでしたが、守備はクラウドノイズは関係ないのでなかなかいい出来でした。
 3Q。ここはまったくの互角。セインツがTDすればラムズもTDする。どちらも70ヤードほどのドライブで5分ほど使って、3点差のまま。ただ、この3Q、セインツはラン中心のオフェンスに切り替えて勝負に出たように見えました。時間を使い(リードしている側ですから)、ボールを支配しながら加点していけば追いつけないはずだからです。QBヒルを入れてのセインツの今季の特徴的な攻撃もうまく行きました。やれることはやった感があります。それでもラムズは点差を広げられることなく追いついてきました。美しいプレイアクションパスなども決まってゴール前に。パスでTD。負けていません。17-20
 4Q。思わぬ展開。ディフェンスマッチです。手詰まりというわけでもないのでしょうが、攻撃は膠着。パスインターフェアじゃないかみたいなプレイもありつつラムズは必死に守る。突き放せないセインツ。ラムズも決められそうな場面はあったのです。90ヤードもゲインして5分以上かけたのにTDがとれずFG。ところがセインツもFGしか入れられず。残り時間を有効に使ったラムズは同点のFGを決めて23-23。延長戦。
 延長。コイントスでレシーブを選んだセインツに圧倒的な優位が与えられ、多くの人はセインツがTDして勝利するのだろうと考えたとき、まさかラムズにQBブリーズのパスがインターセプトされるとは。それも自陣34ヤードです。シーズンを通してINTやターンオーバーの少ないQBブリーズが、最後の最後のこの場面でまさかのINT……。絶句です。そしてFGを決めたラムズがカンファレンス・チャンピオンとなり、スーパーボウルへ行きます。あなどれないラムズ。第34回スーパーボウル(2000年)でラムズはQBカート・ワーナーでタイタンズとギリギリのゲームを制しています。36回(2002年)にも出ましたが、先発QB負傷で登場したQBブレイディーのペイトリオッツに3点差で負けています。ペイトリオッツの時代がここから始まったわけです。もしかしてその時代に終止符を打つのもラムズなのでしょうか? 羊たちの健闘を祈ります。
 

日本時間2019年1月21日(月)ラムズ@セインツ

 

 ペイトリオッツ@チーフス(AFC)

【結果】ペイトリオッツ 37-31 チーフス
 まさかのチャンピオンシップ2試合目も延長戦。そしてやっぱりのペイトリオッツ。
 1Qはペイトリオッツが8分もかけてTDを奪うみごとなドライブを見せつけて、やっぱり強いんだなと印象付けました。チーフスはパント。そしてまた堂々のペイトリオッツオフェンスが……。なんとINT。チーフスに流れが変わるのか?
 2Q。ところがチーフスはせっかくのチャンスをパントで終わる。これがよくないのです。ケルシーに投げて最初はダメでしたが、2投目は9ヤードゲイン。残り1ヤードをランで取ろうとして失敗してしまったのです。うーん。このあと膠着状態に。お互いにパントで終わる攻撃。守備陣はよく相手を研究しています。うかつに投げられない。慎重になります。でもチーフスはチャレンジャーなのだから、ここでなにかをしないわけにはいかないはず。マホームズの42ヤードパスが決まる(レシーバーはヒル)。これはすごい。もしかしたらと思わせる。このあとがいけない。マホームズはラッシュを逃れるために深く下がったところでサックされてしまう。FG圏内から圏外に追い出されてしまったわけです。またパント。すると今度はペイトリオッツが仕掛けてきました。リードしているペイトリオッツは前半の残り時間を使ってFG狙いか。投げどころがなくブレイディーはいわばセーフティーバルブのホワイトへのショートパス。ロスがなければいいという感じ。それがチーフスの意表をついた形になってあれよあれよと30ヤードのゲインに。こうなるとペイトリオッツは狙ってきますよね。29ヤードのTDパスを決めて、前半を14-0。つまりペイトリオッツ守備は完璧にチーフスを抑え込んだのでした。
 3Q。ここで巻き返さないと時間もなくなります。コイントスで勝ったチーフスは後半勝負としてレシーブを選択していました。だから後半最初のドライブはとても大事。短いゲインを重ねていくのかと思ったら、ワトキンスへのディープミドルへのパス。これが54ヤードのゲインとなっていっきにレッドゾーン。ケルシーに短いパスを投げてTD。14-7。たたみ掛けたいところ。このあとお互いにパントですが、マホームズはサックされてしまったんですよね。前半の経験が活かされていない。もっともチーフスの守備もブレイディのパスをはたくなど、とてもアグレッシブにやっていました。チーフスのパントが短くてペイトリオッツSuper Bowl LIIIにいいポジションを与えてしまい、それがFGにつながってしまいます。17-7。逃げて行くペイトリオッツ。この段階で、今日のチーフスは20点ぐらいしか取れないのではないかと感じましたし、ペイトリオッツは30点取れる勢いを感じました。ですがチーフスはそこからTDを取っていくのです。このシリーズはシビれました。サックされることを見越して自らネイキッドになって、突っ込んで来るペイトリオッツ守備の頭越しにパス。勇気も技術も必要です。#26ウィリアムスへのサイドライン側のショートパスがロングゲインになりました。ペイトリオッツにパスインターフェアランスの反則もあってTDまで持って行くことができました。おみごと。17-14。
 4Q。いけそうな気がする。チーフス守備もがんばって、今日最初のドライブのようにガシガシとやってくるペイトリオッツでしたが、4dインチのギャンブルで飛び込んだところをチーフス守備にしっかり抑えられて失敗。チャンスと思いきやチーフス攻撃はぜんぜん進めずパント。ペイトリオッツはまた攻撃開始と思ったとたんにINT。ここはパントリターナーのエデルマンの手に当たったかどうかというビデオ判定があって、当たってないとなり、ペイトリオッツの攻撃だったのですが、今度はエデルマンに投げたボールが弾けてINTになったのでした。神様は意地悪だ。まだチーフスに流れが来ている。スクリーンパスで#26ウィリアムスが走り込んでTD。ついに逆転です。17-21。残り7分55秒。このスクリーンパスはそもそもプレイ全体が右に行くと見せかけての左だったので、ウィリアムスは誰にも触られずにTDできたのでした。すばらしい戦術。
 このあとはTDの応酬。息もつけない展開で唖然です。チーフスは再び追う立場になって残り時間を使いながらTDをすれば勝利でした。ですが、これがうまくいかない。残り31秒しかないのでしょうがないのですが、ミドルにいいパスが決まっていたのでTDを狙いに行ってもよかったんじゃないかと思いますが、安全にFGで同点にしました。31-31。
 終盤のペイトリオッツの落ち着きと、やはりグロンカオスキーとエデルマンのいるチームへの守備も難しさもあって、チーフス守備はなかなか止められませんでした。せめてFGにしておけば、できればパントで終わらせればと思うものの止まらない。この底力は脅威というか恐怖です。
 延長。コイントスでレシーブを取ったペイトリオッツ。先ほどの鬼のような攻撃はさらに続きます。3d10まで追い込んだチーフス守備でしたが、エデルマンにパスを通されてしまう。このあともパス不成功もあるものの、エデルマンで15ヤード。グロンカオスキーで15ヤードと、ガツガツといわばボディーにいいパンチが入っていく。#34バークヘッド(Rex Burkhead)のラン攻撃は仕上げのようなもの。10ヤード、3ヤードとゲインし、最後に2ヤードのランでTD。試合終了です。37-31。
 この最後のシリーズは、スーパーボウルへの布石にもなっています(たぶん)。34バークヘッドはレギュラーシーズンではあまり目立っていません。4人目のRBといった感じで、ネブラスカ大出身6年目。ベンガルズから2017年にペイトリオッツへ移籍していました。今シーズンは8試合に出て、Week17のジェッツ戦でパスキャッチからのTDを1つ。その前のWeek16のビルズ戦ではファンブルロストを喫していて、正直ペイトリオッツの中でも、それほど目立つ存在ではありませんでした。それがこの大事な延長戦の場面で3回連続でボールを持たされたのです。それだけ層が厚く総力戦ではまだまだ人材はいるぞ、とアピールしているかのようです。スーパーボウルでは誰がヒーローになるでしょうか。

日本時間2019年1月21日(月)ペイトリオッツ@チーフス
 
 これ以前の記事はこちらへ。
 
 

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ますもと・てつろう

投稿者プロフィール

「かきっと!」の編集長です。記事もいろいろ書いています。
業界紙・誌(物流、金融経済、人事マネジメント)、ビジネス誌、ビジネス書など幅広く編集・執筆をしてきました。
ペットケアアドバイザー(愛玩動物管理飼養士二級、2005年度)
行政書士試験 合格(2009年度)

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