
ついに21018年シーズン(2018-2019)も終わりを迎えました。第53回スーパーボウル、Super Bowl LIIIを中心にまとめています。
なお、アメリカンフットボール、NFLについての用語などの解説は過去記事のこちらをどうぞ。スーパーボウル以前のレポートはこちらへ。
第53回スーパーボウル Super Bowl LIII
まるでペイトリオッツのホームゲーム
なぜ守備からMVPが出なかったのか?
ラムズの敗因を象徴する2Q残り6分14秒
ペイトリオッツの凱旋
マクベイはなにを考えていたのだろう?
マクファーレントイズ NFL18 トム・ブレディ/ニューイングランド・ペイトリオッツ
(ニューエラ) NEW ERA NEW ENGLAND PATRIOTS 【D-FRAME TRUCKER MESH CAP/NAVY】 ニューイングランド ペイトリオッツ
マジェスティック (Majestic) NFL ティーシャツ – ニューイングランド・ペイトリオッツ (New England Patriots) QB Tom Brady #12
オードリーのNFL倶楽部 若林のアメフト熱視線 (Number Books)
Riddell Mini フットボール ヘルメット – NFL Speed New England Patriot
スーパーボウル事前記事
【事前】ラムズとペイトリオッツのスーパーボウルとなりました。日本時間2月4日(月)。BSNHKは午前8時から生中継予定です。
ラムズは、「ONE HOUSE.ONE DREAM.」を掲げてプレイオフに臨みました。直訳すれば「ひとつの家。ひとつの夢」ですね。One for all, All for on.みたいな意味でしょうか。そしてこのHOUSEは、新しいラムズの本拠地の意味でもあります。ご存じのように、1936年にクリーブランドで誕生したラムズですが、10年後にはロサンゼルス・メモリアル・コロシアムへ移転。懐かしい映画「天国から来たチャンピオン」(1979年)では、主人公はラムズのQB。当時はコロシアムでした。ロケもしています。その後、1980年にアナハイムへ。いま野球の大谷選手が所属するエンゼルスと同じ球場だったのです。1995年からはセントルイスへ移転。QBカート・ワーナーなどの活躍でスーパーボウルを制します。2016年には再びロサンゼルスに。いまはコロシアムを本拠地としていますが、2020年シーズン以降、ロサンゼルス・スタジアム・アット・ハリウッドパーク(建設中)に移る予定です。ひとつの家、という気持ちはなんとなく感じますよね。転勤ばっかりの家族みたいな。やっと落ち着けるかもしれない。そのためには勝利が必要です。またとないチャンスがいまやってきたのです。
ペイトリオッツは、「EVERYTHING WE GOT」を掲げてプレイオフに臨みました。直訳すれば「私たちが得たすべてのもの」ですね。動画などによると、プレイオフのすべてを得るには、すべてを取りに行かなければならない、そしてそのために自分たちはすべてを投げ打つのだ、といった意味があるようです。つまり自分たちはすべてを出し切ることですべてを得るのだという意気込みですね。なんだか深いです。いまさらペイトリオッツを語ることもないでしょうが、スーパーボウルに10回も出ています。1986年(第20回)、1997年(第31回)、2002年(第36回)、2004年(第38回)、2005年(第39回)、2008年(第42回)、2012年(第46回)、2015年(第49回)。2017年(第51回)。2018年(第52回)。ここで表記した年はシーズンの年ではなくスーパーボウルがおこなわれた年です(私が2018-2019なんて表記をするのもこのため)。
このうち5回勝利しています(2002年、2004年、2005年、2015年、2017年)。全勝しているようなイメージがありますけども。イーブンなのです。まだまだおれたちにはやり残したことがあるぜ、的な意味がEVERYTHING WE GOTにはこめられているのかもしれません。11回目で勝利すれば勝ち越しです。また、2002年からQBはトム・ブレイディーです。つまりブレイディーのスーパーボウルとしては、8回出て5勝ですから勝ち越していますけどね。
ブレイディが初勝利したスーパーボウルはラムズが相手でした。HCビル・ベリチックは2000年就任ですから、2年目。QBドリュー・ブレッドソーでいまいち線が細い。今年もなあ、というときにWeek2でブレッドソーが負傷。ブレイディーが代役で出て勝ち始めると、ブレッドソーはケガが治ってもスターターに戻ることはありませんでした。そのままスーパーボウルへ駆け上がって、当時最強と見られていたラムズと対戦したのです。そして勝利し最年少MVPとなったのでした。といっても前半はペイトリオッツの守備が光っていました。後半も守備の戦いとなって17-17で残り2分を切ってペイトリオッツのオフェンス。これがすばらしく冷静なブレイディーが一躍スターとなったのです。FGをヴィナティエリが決めて勝利しました。チーム力で勝つ展開ですね。これはペイトリオッツの基本で、現在も続いているスタンスです。
この強いペイトリオッツにラムズは勝てるでしょうか。対ラムズではじまったペイトリオッツの黄金期を、ラムズが止めるでしょうか? いろいろな話が飛び交っています。
ラムズ勝利のポイント
・直前まで負傷者はいない模様。心配なのはRBガーリー。ランだけではなくレシーバーとしても重要な存在ですが、レギュラーシーズンのWeek15からほとんど出ていません。チャンピオンシップで4回10ヤード1TDしたものの、万全ではない印象を残しています。ラムズはランオフェンスを出すことでプレイアクションパスを決めるスタイルですから、ランが止められたらパスも出なくなる可能性があります。ラムズのランオフェンスがどうなるのか。ガーリーは万全なのか。もしガーリーが万全でない場合の代替案はあるのか。
・ラムズ守備#99アーロン・ドナルド。今季ディフェンス・オブ・ジ・イヤーに輝いた選手。彼が強力で俊敏なペイトリオッツのオフェンスラインにどう切り込むか。ラムズのラン攻撃を決めるインテリア・
・ペイトリオッツは、Week15でスティーラーズに負けています。際どい試合を取りこぼしたのです。意外にもランに対する守備に脆さが出ていました。オフェンスラインが強いとき、ペイトリオッツはうまく対応できないことがあるのです。ブレイディもさすがにサックされるとパスの勢いも止まります。プレイオフではチャージャーズ、チーフスともに、ブレイディをサックできませんでした。ラムズはランオフェンスで点と時間を稼ぎ、さらに守備でプレッシャーを掛け続けることになるでしょう。そしてペイトリオッツとしては前回スーパーボウルではイーグルスに完敗しているのです。それに奮起しての今季でしょうが、かえって意識しすぎて歯車が狂うこともあり得るのでは? ラムズはそこをジワッと攻めることになるでしょう。相手の嫌がることをやることは、どんなスポーツでも重要な戦術です。
ペイトリオッツ勝利のポイント
・ラムズQBゴフは、短いパスも長いパスもとてもクイックで鋭く投げます。これにペイトリオッツ守備はどう対応するでしょうか。とくにプレイアクションパスはみごとです。敵の裏をかくロングパスで何度もチャンスを広げてきたラムズですから。ゴフに逃げられないように激しくラッシュすると、スクリーンでロングゲインとなりやすいのでどう対応するか。
・Week14のラムズはベアーズ戦でゴフはプレッシャーを受け続け4INT、1セーフティを奪われました。ゴフはプレッシャーに弱いのです。ラムズ守備もがんばって3INT奪うなど活躍したのですが、勝てませんでした。翌Week15ではラムズはイーグルスと戦ってやはりINTをくらって負けています。またイーグルスにけっこう走られていましたね。13勝したラムズですが、セインツ、ベアーズ、イーグルスに負けていて、比較的スケジュールは楽だった印象なのです。ペイトリオッツのハードなタックルが炸裂することで、ラムズは攻撃チャンスを奪われるでしょう。
・アグレッシブな選手が多いペイトリオッツですが、たとえばエデルマンの落球や不用意な反則が生じる可能性もあります。接戦になったときにミスをしないチームとしても知られているわけですから、その冷静さを保つことが勝利のカギです。
さらに見所
・あまり表情をあらわさない老獪なHCベリチックと、アグレッシブで若々しく表情豊かなHCショーン・マクベイ(33歳です!)の対決。マクベイはレッドスキンズ時代にQBカズンズを育てたコーチとして注目されました。カズンズは鳴り物入りのQBであるRG3が負傷したあとチームを引っ張り続けました。そしてNFL史上最高年俸でバイキングスのQBとなっています。すでにたくさんのスターを育てたベリチック。いままさに自分の時代を築こうとするマクベイ。楽しみです。
チャンピオンシップ
日本時間1月21日に開催予定のチャンピオンシップ。AFC、NFCのそれぞれチャンピオンを決める試合がおこなわれました。この勝者が2月4日のスーパーボウルで対戦します。
まさかの延長戦。そしてまさかのラムズ。
2Q。私の事前予想ではここを制したチームが勝利するはず。するとラムズはセインツを抑え込み、前半終了間際にTDを奪いました。しかも81ヤードもドライブしてのTD。中でもコックスへの36ヤードのパスは見事でした。これで乗れるかラムズ。10-13。地元セインツのクラウドノイズの中で、いつものようなオフェンスのできないラムズでしたが、守備はクラウドノイズは関係ないのでなかなかいい出来でした。
日本時間2019年1月21日(月)ラムズ@セインツ
ペイトリオッツ@チーフス(AFC)
【結果】ペイトリオッツ 37-31 チーフス
まさかのチャンピオンシップ2試合目も延長戦。そしてやっぱりのペイトリオッツ。
1Qはペイトリオッツが8分もかけてTDを奪うみごとなドライブを見せつけて、やっぱり強いんだなと印象付けました。チーフスはパント。そしてまた堂々のペイトリオッツオフェンスが……。なんとINT。チーフスに流れが変わるのか?
2Q。ところがチーフスはせっかくのチャンスをパントで終わる。これがよくないのです。ケルシーに投げて最初はダメでしたが、2投目は9ヤードゲイン。残り1ヤードをランで取ろうとして失敗してしまったのです。うーん。このあと膠着状態に。お互いにパントで終わる攻撃。守備陣はよく相手を研究しています。うかつに投げられない。慎重になります。でもチーフスはチャレンジャーなのだから、ここでなにかをしないわけにはいかないはず。マホームズの42ヤードパスが決まる(レシーバーはヒル)。これはすごい。もしかしたらと思わせる。このあとがいけない。マホームズはラッシュを逃れるために深く下がったところでサックされてしまう。FG圏内から圏外に追い出されてしまったわけです。またパント。すると今度はペイトリオッツが仕掛けてきました。リードしているペイトリオッツは前半の残り時間を使ってFG狙いか。投げどころがなくブレイディーはいわばセーフティーバルブのホワイトへのショートパス。ロスがなければいいという感じ。それがチーフスの意表をついた形になってあれよあれよと30ヤードのゲインに。こうなるとペイトリオッツは狙ってきますよね。29ヤードのTDパスを決めて、前半を14-0。つまりペイトリオッツ守備は完璧にチーフスを抑え込んだのでした。
3Q。ここで巻き返さないと時間もなくなります。コイントスで勝ったチーフスは後半勝負としてレシーブを選択していました。だから後半最初のドライブはとても大事。短いゲインを重ねていくのかと思ったら、ワトキンスへのディープミドルへのパス。これが54ヤードのゲインとなっていっきにレッドゾーン。ケルシーに短いパスを投げてTD。14-7。たたみ掛けたいところ。このあとお互いにパントですが、マホームズはサックされてしまったんですよね。前半の経験が活かされていない。もっともチーフスの守備もブレイディのパスをはたくなど、とてもアグレッシブにやっていました。チーフスのパントが短くてペイトリオッツSuper Bowl LIIIにいいポジションを与えてしまい、それがFGにつながってしまいます。17-7。逃げて行くペイトリオッツ。この段階で、今日のチーフスは20点ぐらいしか取れないのではないかと感じましたし、ペイトリオッツは30点取れる勢いを感じました。ですがチーフスはそこからTDを取っていくのです。このシリーズはシビれました。サックされることを見越して自らネイキッドになって、突っ込んで来るペイトリオッツ守備の頭越しにパス。勇気も技術も必要です。#26ウィリアムスへのサイドライン側のショートパスがロングゲインになりました。ペイトリオッツにパスインターフェアランスの反則もあってTDまで持って行くことができました。おみごと。17-14。
4Q。いけそうな気がする。チーフス守備もがんばって、今日最初のドライブのようにガシガシとやってくるペイトリオッツでしたが、4dインチのギャンブルで飛び込んだところをチーフス守備にしっかり抑えられて失敗。チャンスと思いきやチーフス攻撃はぜんぜん進めずパント。ペイトリオッツはまた攻撃開始と思ったとたんにINT。ここはパントリターナーのエデルマンの手に当たったかどうかというビデオ判定があって、当たってないとなり、ペイトリオッツの攻撃だったのですが、今度はエデルマンに投げたボールが弾けてINTになったのでした。神様は意地悪だ。まだチーフスに流れが来ている。スクリーンパスで#26ウィリアムスが走り込んでTD。ついに逆転です。17-21。残り7分55秒。このスクリーンパスはそもそもプレイ全体が右に行くと見せかけての左だったので、ウィリアムスは誰にも触られずにTDできたのでした。すばらしい戦術。
このあとはTDの応酬。息もつけない展開で唖然です。チーフスは再び追う立場になって残り時間を使いながらTDをすれば勝利でした。ですが、これがうまくいかない。残り31秒しかないのでしょうがないのですが、ミドルにいいパスが決まっていたのでTDを狙いに行ってもよかったんじゃないかと思いますが、安全にFGで同点にしました。31-31。
終盤のペイトリオッツの落ち着きと、やはりグロンカオスキーとエデルマンのいるチームへの守備も難しさもあって、チーフス守備はなかなか止められませんでした。せめてFGにしておけば、できればパントで終わらせればと思うものの止まらない。この底力は脅威というか恐怖です。
延長。コイントスでレシーブを取ったペイトリオッツ。先ほどの鬼のような攻撃はさらに続きます。3d10まで追い込んだチーフス守備でしたが、エデルマンにパスを通されてしまう。このあともパス不成功もあるものの、エデルマンで15ヤード。グロンカオスキーで15ヤードと、ガツガツといわばボディーにいいパンチが入っていく。#34バークヘッド(Rex Burkhead)のラン攻撃は仕上げのようなもの。10ヤード、3ヤードとゲインし、最後に2ヤードのランでTD。試合終了です。37-31。
この最後のシリーズは、スーパーボウルへの布石にもなっています(たぶん)。34バークヘッドはレギュラーシーズンではあまり目立っていません。4人目のRBといった感じで、ネブラスカ大出身6年目。ベンガルズから2017年にペイトリオッツへ移籍していました。今シーズンは8試合に出て、Week17のジェッツ戦でパスキャッチからのTDを1つ。その前のWeek16のビルズ戦ではファンブルロストを喫していて、正直ペイトリオッツの中でも、それほど目立つ存在ではありませんでした。それがこの大事な延長戦の場面で3回連続でボールを持たされたのです。それだけ層が厚く総力戦ではまだまだ人材はいるぞ、とアピールしているかのようです。スーパーボウルでは誰がヒーローになるでしょうか。
Riddell Mini フットボール ヘルメット – NFL Speed New England Patriot
Riddell Mini フットボール ヘルメット – SPEED Los Angeles Rams 2017
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