
これまでは、紙本から電子へ、という流れだったんだけど、デジタルファースト、ボーンデジタルの電子書籍を今度は必要な人に紙で届ける流れがあるよね。ということは、いつがPOD元年なんて言うのは、ちょっとなんですけど。
2015年5月22日付けの記事です。
出版デジタル機構、プリント・オン・デマンドの取次事業をスタート
※2019年3月に出版デジタル機構はメディアドゥと合併、100%子会社の株式会社出版デジタル機構を新たに設立した。ここで述べているのはその合併前の会社のこと)
出版デジタル機構とは、「インフラを整備し、誰もが電子書籍と結ばれる時代へ。」という文言でもわかるように、大手出版社はもちろん1000社以上の出版社が参加し、アマゾンを含め50社以上の電子書籍の書店とつながっている組織で、紙本から電子化を促進・普及をしていく活動をしています。たとえば、電子書籍の取次などですね。
各出版社では電子書籍のデータをつくり、この出版デジタル機構を通じて、各電子書籍ストアへ配信していくことができるわけです。
そこが今度は、POD(プリントオンデマンド)の取次も開始ました。
私自身、こんな記事も書いています。
セルフパブリッシングと商業出版の間にあるもの
すでにアマゾンではこんなPODのストアがあって、セールもやっていたりします。アマゾンPODストア
アマゾンPODはこのあと、倍々で点数、売上を伸ばしています。アマゾンにとっては、少なくとも2015年がPOD元年と言える飛躍の年だったようです。2016年には点数だけでも2012年から比べて30倍以上に増やしており、とくに2015年から2016年にかけて倍増したことが大きかったみたいです。それを今後は、毎年3倍ペースぐらいで拡大したいと関係者は言っていたとか。
この2016年で6万タイトルぐらいだったようですので、12万、24万といくのかな? 数字を出さないアマゾンジャパンですから、不明としか言いようがないです。一説によると、この間に売上高は16倍になった、とか。確かな話ではないのですが、勢い付いているのは事実のよう。
2012年からスタートしているインプレスの「NextPublishing」も、業界内では知られています。
私が推奨しているのは、BCCKS。
地味なようでも、なかなかどうして。業界注目のプラットフォームなのです。
誰でも手軽に電子書籍を作ることができ、主要な複数の電子書籍の書店への配信もでき、著書を何人かで共同で編集することもでき、販売したときのロイヤリティの管理もできます。
しかも、PODで紙本にすることができます。
つまり、BCCKSは、最初から、
電子→紙本
という選択肢が用意されていたわけです。
いとうせいこう著の「親愛なる」は、パーソナライズまでできて、つまり本の申し込み者の名前、住所などから本文の一部が読者1人1人、異なる表現になるように印刷されるのです。すでに販売中は終了。
私も以前の販売時に申し込んで、ドキドキしながら楽しませてもらいました。不思議ですよね。自分の申し込んだときの名前であるとか、地名とかが、作品にバンバン、出てきちゃう。いままでにない世界ですね。
「せっかく、電子にしたのに、なぜ紙本に?」という疑問はごもっとも。しかし、考えてみれば、本を読む楽しみは、紙でも電子でもあっていいわけで、「電子でなければならない」なんてことはないのです。読者が欲しい形になればいい。
そういう意味で、いよいよ、2015年は、POD(プリント・オンデマンド)の元年だったと言えるかもしれません。
(本稿は「かきぶろ」『2015年は、POD プリント・オン・デマンドの元年?』2015年05月24日を元に加筆修正しました)
グレイプスの「聖地書店」はPODの代表的な書店です。
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