1週間で2000部 1日で棚が空っぽになったミニ写真集の秘密

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1週間で2000部も売れたミニ写真集
渋谷駅からスクランブル交差点を渡って、センター街の入り口にある「大盛堂書店」。この2階にあるコーナーで、「1日で棚が空っぽになった」書籍があることをご存じでしょうか。およそ200部が、その日だけで完売し、イベントでの販売、通販での販売を含めると1週間で2000部を売り切ってしまったのです。
それは出版ベンチャーのグレイプスで制作・販売している「ミニ写真集」の1つ。『ボクと君のある日のこと。‐横顔篇‐ 小坂涼太郎×飯田エリカ』です。
2017年8月22日現在、約50作品(ミニ写真集、グレイプス文庫あわせて)が並んでいます(2019年10月末をもってこのコーナーは終了しています)。
今回は、この「聖地書店」の中でも、「ミニ写真集」に絞って「それってなに?」を紹介していきます。
ミニ写真集って、どんなもの?
手に取るとわかるのですが、通称「トーフ版」と呼ばれる、とても小さなサイズの写真集です(縦124mm×横70mm)。製本前の積み上がった様子が豆腐に似ているからトーフ版と呼ばれているらしいです。
ページ数は64ページ。オール4色。
スマホよりも少し小さいくらいで、ワイシャツの胸ポケットに入ります。定型封筒に入っちゃいます。
大判の写真集とミニ写真集の大きな違いは、バッグなどに気軽に入れられる点です。旅行にだって持っていくことができるでしょう。
いかにも「ちょっとしたグッズ」のように見えるものの、64ページの空間は、思った以上に深くて広いものです。1人の被写体で、1ページに1点としても、50~60ほどのポーズが展開されていることになります。
このミニ写真集はどのように作られているのでしょうか。
こんなに簡単に書店に並ぶんですか!
制作・販売をしているグレイプスは、既存の出版社がやらないような出版をしていくことを目標としたベンチャー企業です。
ここに問い合わせることで、簡単にミニ写真集をつくることができます。簡単な審査、メールなどによる編集の打ち合わせ、出版前の確認、出版契約などを経て、ISBNコードをつけて印刷、製本されます。
最短で、4週間あれば「聖地書店」に並べることもできます。
トーフ版で64ページと、定型化されていること。BCCKS(ブックス)が開発した聖地書店専用のシステムで編集することによってスピード化、納期の短縮などが計られています。編集はグレイプスの編集者が行います。
印刷は、共同印刷によるPOD(プリントオンデマンド)。
「来月のイベントのために、ミニ写真集をつくりたい」といったことも不可能ではありません。
初期費用を含む見積もりには、編集費、印刷費など経費がすべて入っているほか、自分用のいわゆる見本も含まれています。そして、グレイプスの判断で初版の部数を決めて、「聖地書店」そして通販の「聖地書店(仮)」で販売をします。通常、50~100部程度から売れ行きを見て増刷されます。
また、アマゾンでの販売、自分で販売する(手売り、イベントなど)も可能です。この場合は、基本的には書店への卸価格と同条件で必要部数を購入し、定価以上の価格で販売すれば手元に差額の利益が残る仕組み。あらかじめ、必要な部数がわかっていれば、その分を含めて印刷します。自身のサイトでサイン入り本を販売している例もあります。
初期費用と自分で売る分の費用だけでいいのです。この費用は、自分で全額負担するケースもあれば、パトロンと呼ばれる出資者(奥付に名前を載せることも可)が参加することもありますし、所属する事務所が負担することもあります。
どのような写真集にしたいのか、どのように販売したいのか、といったことを含めて相談してみるといいでしょう。
グレイプスでは、大盛堂書店でのミニ写真集の発売に合わせてファン向けのイベントを開催した例もあり、イベント企画を含めて相談可能です。
自撮りでもOKですか?
ミニ写真集には、どのような写真がいいのでしょうか?
これは、映画監督の井口氏を、その奥さんがスマホで撮影した写真で構成しています。プライベートな空間でありながらも、映画のファンが思わず手に取るユニークな写真集となっています。
このように、被写体、写真は自由です(グレイプスによる審査があります)。
書店で販売されることが前提になっています。そのため、NGとなる写真があるのも事実(他者の権利に触れるもの=人気キャラのお人形と旅をするなど、人気遊園地や飲食店での撮影、撮影禁止の場所での撮影など)。
ですが、私たちの身の回りでも、インスタグラムなど写真の世界は大きく広がっています。そこに、ミニ写真集にしたらおもしろい写真がたくさん眠っているのではないでしょうか?
ミニ写真集ならではの世界で、どう表現するか、どう遊ぶか、考えてみると楽しさがさらに広がるはず。
もちろん、思い出の写真集でもかまいません。ご自身の思い出、ペットの思い出などなど。
笑顔をありがとう ちょこはなプロジェクト/尚子/NPO法人ペット里親会
これは、急逝した保護犬「華」の写真集。思い出を残したいという気持ちと、保護活動について少しでも理解が広がることを願って制作されました。
写真家・飯田エリカさんに撮ってほしい
ミニ写真集の多くは、写真家・飯田エリカさんによって撮影、編集されています。ですから、「ぜひ飯田さんに撮影してほしい」と思っている方もいるでしょう。
たとえば、プレミアムコースで申し込むと、飯田さんに撮影してもらうことも可能です。もちろん男女、問いません。スケジュールの関係などで必ず希望した通りにはいかないかもしれませんが、グレイプスに問い合わせてみてはいかがでしょうか。
誰でも自由に手軽に写真集を出せる時代
商業的な出版では、写真集のハードルはかなり高いと言われています。プロの写真家でも写真集を出すのはなかなか大変な時代です。
まして、「誰でも」というわけにはいきません。
ですが、この「ミニ写真集」は、まさに「名刺代わり」に写真集を出すことができてしまうのです。
1冊、2冊の制作なら、フォトブックやお手軽印刷サービスでも楽しめると思いますが、販売される本として出版できるサービスという点で、聖地書店のミニ写真集は、とてもユニークな存在なのです。検討してみる価値のあるプランだと言えます。
なお、グレイプスでは、写真集、ミニ写真集、文芸書籍、ビジネス書籍など幅広く対応している。
※この記事の初出は 2017年8月23日です。2019年10月に渋谷・大盛堂書店2階の聖地書店コーナーが終了になり、当初Webで展開していたサービス(モチコミ)を終了したことなどから、記事およびリンク先を修正しています。
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