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いまあえて会社の予算を考えよう その2 意外にも少ない予算管理の教科書

フレアビジネス研究会は、書籍、雑誌、Webで活躍する編集者・ライターによるビジネス系コンテンツの研究会です。経営から国際、経済など幅広い分野をカバーする専門家の集団となっています。2017年7月段階で7人が在籍。『課長・部長のための知っておきたいビジネス常識と教養』を2017年1月に、そして7月には『課長・部長のための予算作成と目標達成の基本』を上梓しています。
そこで、数回にわけて、会社の経営、事業の運営、営業といった面から「予算」について考えていきます。題して「いまあえて会社の予算を考えよう」。その2回目は、「意外にも少ない予算管理の教科書」です。
目次
会計の教科書では物足りない
私たちが『課長・部長のための予算作成と目標達成の基本』という本を作ろうとしたとき、「きっと類書がいっぱいあるよね、どう、それとは違う方向を出せるかな」と思っていたのです。まずは、企画段階で類書を調べておくことになったのです。
『予算管理の進め方』(知野雅彦著、日高崇介著)
ところが、セミナーなどは銀行系などでいくつか見受けられるものの、書籍はなかなか見つからず。
タイトルとしてはズバリの、『予算管理の進め方』をやっと見つけたわけです。
ですが、確かにこの本も素晴らしい。なによりコンパクトですし、企業の経営の本質は時代であまり変わらないのだという前提に立てば、2007年の本ですけども充分にいまでも役に立つ内容でした。
でも、このあとが続きません。
たとえば、マーケティングの本といったら、基礎的な本だけでも10冊ぐらいすぐに出てくるでしょうし、応用まで含めたら100冊ぐらいになってしまうのではないかと思います。
それが、1冊ということはないでしょう。
少し視野を広げて探しました。
『会計参謀-会計を戦略に活用する』(谷口学)
いい本です。「本書は会計と経営戦略をつなぐ架け橋です。」とうたっていて、経理・会計の視点だけでは経営に役立つ予算管理はできないよね、というスタンス。MBAの講義などでカバーされている内容です。
『ユニクロ監査役が書いた 強い会社をつくる会計の教科書』(安本隆晴著)
こちらも良書。なんと言ってもベテランの監査役が、ズバリ、どの数字をどう見ればいいのか、教えてくれます。これもいまの時代には必要な考え方でしょう。 こうした書籍を集めて読んでいくうちに、わかってきたことがあります。
「予算について毎日、シビアに考えてあくせくしているのは、現場だ」ということ。
ところが、予算について書かれた本は、「経営視点」「会計視点」のいずれかしかない、ということです。
もちろん、現場も経営者と同じ視点を持つことは大切です。とはいえ、現場視点の本は私たちには発見できませんでした。現場で共に汗しているコンサルタントによる本はいくつかありました。これも貴重なのですが、内容としては、どちらかといえば、経営寄りか、または会計知識を深める話に終始していることが多いようでした(全部を読んだわけではないので、そうじゃない本もあるとは思いますけども!)。
私たちは、予算管理の本を企画するときに、会計視点はあえて前面に出さないぐらいの気持ちでいこうと考えました。もちろん、数字を扱う話なので、結果的には会計のこともしっかり書く必要はありましたが、前面には出さないようにできないか、と模索しました。
ケースでは追いきれない
そして数人のコンサルタント、会計士などにお会いして、このテーマについて書くとすれば、どのような内容になるかを調査しました。あわよくば、その中で「書けるよ」と言っていただける方、または「監修できるよ」と言っていただける方が出てくれば渡りに船。ありがたいな、と思いつつ。
そこで直面したのは3つの問題でした。
1、課長・部長にとって予算で役に立つ本とは?
2、予算を管理するだけじゃ目標達成できないのでは?
3、他社のケースは役に立たないのでは?
今回の企画のシリーズが「課長・部長」向けである点を考えると、企業によってその立場はさまざまです。予算づくりに関わっている人もいれば、予算は上からおりてくるもの、という意識の人もいるでしょう。経営視点を求められている人もいれば、達成度だけを求められている人もいるはず。
また、予算を、たとえば「予算管理システム」で「見える化」できたとしても、だからといって達成できるわけではない点。「こうすれば達成できます」は、言えない世界だということ。言えばウソになる。なにしろ、内部要因だけではなく、外部環境の変化だけでも予算の前提は崩れることがあるからです。自分たちにはどうにもならないことによって、達成できない可能性もある以上、「こうすれば大丈夫」なんて言えません。
おそらく、そのため、会計といったしっかりとした基盤のある話を中心にした本が多く、私たちが求めていたような「現場で役に立つ」本は少なかったのかもしれません。
さらに、他社のケースはどの程度、役に立つのでしょう。上記の本でタイトルにブランド名が出ている「ユニクロ」は、ご存じように、世界第3位の製造小売(SPA)であるファーストリテイリングのことで、連結ベースで4万人を超える社員がいて、東証1部上場です。会計という視点に立てば、どれだけ大きな企業でも、中小零細企業でも、同じように考えることはできます。ただ、それでも、すべてが参考になるわけではありません。取り得る戦略に限りのある中小零細企業にとっては、しかもその課長・部長にとっては、1日の時間の使い方も違えば、権限も違うし、マーケットに対する視点も違います。
ケースで解説していくことは難しいでしょう。このため、最終的に『課長・部長のための予算作成と目標達成の基本』に登場している事例は、やり方や考え方や理論などをわかりやすくするために登場してもらうことになりました。
経営から現場までの視点を網羅
結果的に、私たちが取った方法は、予算をめぐるいくつかの視点を、網羅的に描くことでした。
予算管理がなぜいまも企業経営の基本なのか |
会計の視点(管理会計と財務会計) |
経営の視点(企業経営の数字) |
経営の視点(計画、戦略) |
予算策定の視点(現状分析) |
現場の視点(遂行) |
これらをわかりやすくコンパクトに網羅していくこと。 それによって、次のように考えたのです。 『課長・部長のための予算作成と目標達成の基本』は、 1、課長・部長にとってのリファレンス──ちょっと疑問に思ったときに開いてもらう本 2、課長・部長が経営者・上司とコミュニケーションするための基礎知識 3、課長・部長が部下とコミュニケーションするための基礎知識 以上を網羅した本にしたい、と。 つづく
『課長・部長のための予算作成と目標達成の基本』
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