『世界一やさしいIndeedの教科書』(高山奨史・新倉也著、Indeed Japan監修)

『世界一やさしいIndeedの教科書』(高山奨史・新倉也著、Indeed Japan監修)

 CMでばんばん流れるIndeed。いったいこれはなんだ?と思われている方もいるでしょう。いま、世界規模で起きている求人・求職の大変革。その中で大きなシェアを誇っているのがIndeed(インディード)なのです。アメリカ生まれの国際企業。でも日本のリクルート社のグループ会社です。
 本書では、Indeedとは何か。そしていま起きている求人・求職の大変革、さらに「欲しい人材をちゃんと得るにはどうすればいいか?」を解説しています。

 つまり、中小零細企業、なかなか思ったように採用できない会社や商店を含め、幅広い企業にとって、これからの求人のやり方を詳しく公開しています。

 著者は株式会社HR Forceの中心人物。同社は船井総研のグループ会社で、これまで多くの企業にIndeedを活用して難しい採用を実現させてきた豊富な実績があります。それに基づいた内容となっています。さらに、監修は、Indeed Japan。いわば、これからの求人のマニュアルといってもいいでしょう。

 人不足で思うように経営できない、あるいは出店を諦める、さらには人材不足倒産まで、日本では人を採用することが経営にとって大きなテーマとなっていることは間違いありません。そこに、働き方改革も進行している中で、確かな採用を低コストで実現するためのノウハウは、どの企業にとっても必須でしょう。
 本書で、気になった項目は、
 オウンドメディア
 入札
 キーワード
 です。豊富な情報量ですが、その中から、この3つについて、紹介していきましょう。

オウンドメディア──スマホで応募する人を引きつける戦略

 求人情報誌、求人ポータルサイトなど、これまで「人が足りない!」となったら、求人広告を出すこと(そしてハローワークを活用すること)が主だったのですが、ネット社会となって様変わりです。
 さらに、2018年9月には、経団連が「現在の新卒一括採用についても問題意識を持っている」と表明してさまざまな議論を呼びました。大卒(新卒)の求人についての企業側(主に大手ですが)のルールを変更していこうという意思を表明しました。基本的には企業単位で自由に通年採用すればいいのでは、との発想と考えていいでしょう。波紋を呼んではいますが、情勢はどうやらそちらに傾いていっているようです。
 こうなると、採用力も企業力として大きな意味を持ちますので、大手でそれなら、中小零細はさらに求人・採用への意識を変えていかなければなりません。
 Indeedは、簡単にいえば検索エンジンです。求人に特化した検索エンジンであり、その結果はGoogleなどの検索結果に反映されます。それも上位です。Indeedの求人検索はシンプルで、キーワードと勤務地だけ。仕事を探している人は、この2つでとりあえず検索をかけることになります。Google検索でも、キーワードと勤務地を入れれば、Indeedの結果を含めて表示されます。
 スマホで仕事を探す人が増えている現在、検索で上位に入らない求人情報は、なかなか応募が来ないことは推測されます。
 そして、検索上位に入るためには、Indeedの検索エンジンに「これは求人情報だ」と認めてもらったほうがいい。そのために「オウンドメディア」、つまり自社のサイトでの求人情報提供が必要になってきます。
 簡単に言えば、求人広告を媒体やポータルに出すよりも、オウンドメディアを駆使して求人情報をIndeedの検索で上位に表示されるようにした方が、より効果的ってことです。
 ただし本書にあるように、求人ポータルなどもIndeedを利用して広告主の求人情報を検索で表示されやすくしようとがんばっていますので、私は求人広告やポータルの利用も有効だと感じました。問題はコストでしょう。それだけのコストをかけて、どの程度の人を確保できるか。費用対効果ですね。
 企業によっては、思い切ってオウンドメディアだけにして、費用を削減しながら、必要な人材を確保する、といった戦略もあり得るわけです。

 また、通年採用が当たり前となったときには、オウンドメディアによる情報発信は不可欠なので、いずれにせよますます自社での求人情報発信は重要になっていくと考えられます。
 ちなみに、Indeedでは無料で企業の求人情報をネットで公開できる無料の仕組みも用意しています。これはIndeed内のサーバーを使うのでしょうが、オウンドメディアと同じような効果を発揮するものかもしれません。無料なので、予算の少ない企業やお店にはいい話です。

入札──コストを抑える戦術

 これが本書では、もっともユニークな点であり、同時に、なんだかちょっと難しくてわかりにくいところ。
 Indeedは無料で活用できますが、その中に、有料のバージョンがあるのです。いわばアプリ内課金みたいなものです。そうか、これがIndeedの利益構造なのか、とやっと気づくわけですが……。
 Googleならグーグル広告(旧・アドワーズ)、フェイスブックにもFacebook広告があります。あれとほとんど同じようなもの。
 有料でやるときには、広告の頻度などを変更できます。詳しくは本書をご覧いただきたいのですが、このやり方に慣れていけば、最小コストで最大利益が可能になります。つまり、わずかな予算で最高の結果(採用)が得られる可能性です。
 Indeedには無料(オーガニック)と有料(スポンサー広告)の2種類があります。もっとも低コストなのは無料で検索上位に入ること。ラッキーにもそうなる場合もあります。が、確実ではないのです。そこで、適時、有料も活用して上位を狙うわけです。
 これまでの媒体と違い、有料といっても掲載料とかではありません。1クリック当たりの金額を設定して競うのです。高ければ確実に上位に来るとはいえ、高すぎれば無駄な出費となります。一定の期間、求人をしたい場合は全体の予算の中で設定していくので、2位狙い、3位狙いもありということになります。このあたりは、正直、求人担当者のこれまでの仕事の範疇を越えている気もします。
 仕組みをよく理解した上で、どのような社内体制で対応するか、検討しなくてはならないかもしれません。

キーワード──求職者に響く言葉とは?

 オウンドメディアといっても、基本は文字と写真だけです。凝ったサイトを作るより、求職者に響くキーワードが重要になります。というのも、検索結果からさらに深く入っていくかどうかは、見出しに表示されるキーワードに大きく左右されるらしいからです。このあたりも、本書は実践的にアドバイスしています。
 Indeedで表示できる文字種(記号など)は限られていますし、見出しに使える言葉もルールがあります。ウソの求人はもってのほかですが、誤解されやすい言葉、大げさすぎる言葉は表示されないらしいのです。
 検索エンジンとしてのIndeedは、オウンドメディアの中にある求人情報を拾い上げて、見出しを作るらしく、そこをすべて求人企業側で指定することはできません。とはいえ、的確なキーワードを使うことで、求職者にズバリ届く求人広告になります。
 入札で検索上位に表示されても、求職者にピンと来ない言葉では、実際の応募までいかない可能性が高くなってしまいます。クリックされればそれだけ予算を使うことになりますが、クリック数とエントリー数の関係を把握して、クリックばっかり増えて、エントリーが増えないといったことが起きないようにしなければなりません。
 エントリーされやすいキーワードを使って、とにかく応募者を増やさないと、いまの時代、必要な人材は得られないのです。

 ──以下、引用──
 現代の採用において、企業は”選ぶ立場”ではなく、”選んでもらう立場”です。そのため、求人原稿には”自社が求める人材像”ではなく、”休職者が求める言葉”を散りばめることが何より重要です。
 ──引用おわり(P138)──

 オウンドメディアでやる危険性として、「自社はこんなにすごい」とか「社長の言葉」とか「会社の歴史」などを前面に出したくなること。それは最終面接に来るときまでに読んでもらえればいいのであって、エントリーしてもらうためにはほとんど不要なのです。仕事を探している人の気持ちになって、「ここなら働けそう」とか「この働き方には魅力がある」と思えるかどうか。
 本書はさらりと書いていますが、なかなか深い部分まで示唆していると思います。

 本書ではさまざまな考え方を提示して、響くキーワードに加え、求職者がなにを求めているかについても、言及しています。この点は巻末の事例とも関係があります。少ない予算でしっかり人材を確保した例、一般的には人が集まりそうもないと思われている職種で、安定して採用できている例など、「なるほど」と思う話がコンパクトにまとめられています。

 

『世界一やさしいIndeedの教科書』(高山奨史・新倉也著、Indeed Japan監修)

参考になる本

『ハローワーク採用の絶対法則: 0円で欲しい人材を引き寄せる求人票の作り方』(五十川将史著)

『「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる 採用ブランディング』(深澤了著)

『日本一学生が集まる中小企業の秘密: 社員20人なのに新卒採用に1万人が殺到』(近藤悦康著)

『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(曽和利光著)

『採用学 (新潮選書)』(服部泰宏著)

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ますもと・てつろう

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投稿者プロフィール

「かきっと!」の編集長です。記事もいろいろ書いています。

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